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「“センセー”。」
「…なんでそこで伸ばすかな。」
ああもう、と空いた片腕で項をガリガリ掻き毟っていると、ねぇねぇと谷原が執拗に問いかけてくる。
「オレのシツモンにも答えてよ。何でこんなヒマなの、ガッコって。」
「友達と遊ぶゲーセンじゃねぇからな。学校は主に勉強するところだからだろ。」
「ふぅん。つ~まんないの。」
手摺に両腕を乗せ、更に顎をぽてんと置く谷原に、俺は助言しようと試みる。
「勉強を楽しめってのは、お前にはハードル高いだろうからな。ほら、その…友達と話すとか、他校の恋人作るとか。…あ、いんのか。」
いかん。なんか…生徒のプライベートに首突っ込み過ぎたか、俺。一瞬猛反省したが、谷原は顔色一つ変えず、けろりと答える。
「そんなん、いねぇし。」
そう言う谷原の顔には、欠点一つ見いだせない。男子生徒の顔は見慣れているが、思えば谷原クラスのイケメンは早々いない。ちょっぴり強面だけど、甘いマスクに高身長痩身のルックス…。この上級の外見で放っておかれるとは…。マジか、今の女子は一体どこ見てんだ。…中身か??やはり将来性なのだろうか。
「同世代の娘(コ)って、みんなガキみてぇ。」
あ゛、全部察した。コイツの異性を見る目が明らかに発展途上なだけだった。
「…そら決めつけ過ぎだ。お前に似合う娘(コ)は絶対いるって。」
「オレ、年上がいい。」
マグのコーヒーを少量口に含む。…なんだ。心配して損した。ちゃんとアテがあんじゃねぇか。ごくり、と自分の喉仏が緩やかに上下するのがわかった。視線を上げると、当然の話だが谷原と目が合う。視線が濃密に絡み合う。…何だろう。違和感がする。谷原の目が静かに熱を帯びているように見えた。まあ、年頃特有の話だしな。少なからず、興味あんだろ。
「ははっ。…やっぱツバつけてんじゃん。アレだろ??いいな、って思う奴がいんだろ??俺、案外口堅いぜ??試しに言ってみろよ。なんか手伝ったり、アドバイス出来るかもしんないし。」
「オレ…。」
さてと、と俺はここで手にしたマグに集中しだす。次からは聞き手に徹する頃合いだろう。喋りすぎると、お節介だウゼェと言われて、谷原は貝のように口を閉じるに違いない。マグの中をふーふー吹いて、端に唇をつけ、ゆっくりと傾けて、随分冷めてしまったコーヒーを飲み下していく。
「オレ、のんちゃんセンセとHしたい。」
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