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奥のドアの開く音がして、振り返る。視界の端で、副総長も奥の部屋に目をやったのが分かった。
あ、今日の相手は女だ、だなんて他人事のように思う。長い髪が綺麗な子で、あーこいつこういう子すげえ好きそうだなと、自分の頭の中が凪のようにあまりにも静かで笑ってしまう。
「サト、来てたんか」
「"来てたんか"じゃねーよ、おまえふざけんなよ?何回目だよこれ!」
「何?嫉妬?あ、おまえ帰っていいよ」
レンはシッシと女の子を追い払うようにして、もはや眼中にないような素振りを見せる。女の子は俯いて足早にその場を去った。いい匂いだけがその場に残る。香水と体臭とがまざりあった、官能的な香り。
レンを見上げる。
色を抜いたその金髪はもっとギシギシになっていてもおかしくないのに、指通りがよく艶があるのを俺は知っている。その色とは対照的に、瞳は墨のように黒く、俺だけを視界に入れて満足そうに細められた。
「サト、来い」
あーあ。どんだけこいつ自己中なんだよ。ってそう、いつも思うけど、それでもこいつの周りにはいつも人が集まる。なんか変なフェロモンでも出てるんだろうな。
俺には全く効いたことのないフェロモンが。
「副総長、ココアありがと」
「どういたしまして」
「早く来いよサト」
「はいよ」
手首を引かれ、その部屋に招き入れられる。出会った当初感じられていた特別感というものを失ったその部屋は、今や俺にとってなんの価値もない。
さっきまで知らない誰かとセックスしてた部屋に恋人を入れるなんてほんっと最低なやつ。
早く俺に飽きてくれねーかな。
できるだけ酷く捨ててくんねーかな。
そしたら副総長は、優しく慰めてくれるだろう。
そこから先は、考えない。
「早く落ちておいで」
パタリと扉が閉まる瞬間に、副総長がそう呟いた。それは聞き間違いかと思えるような小さな声だったけれど、俺の耳はいつだってその声を拾うことができる。
副総長の言葉の意味を考える前に、レンが俺を壁ぎわに追いやって首筋に唇を寄せた。
「痛って、跡つけんな」
「サト、まだ機嫌なおんねーの?おまえどんだけ俺のこと好きなんだよ」
クックッと笑いながら、「あんなの遊びだぞ、特別はおまえだから。」とそれらしいことを言う総長に抱きしめられた。
「付き合え」と言ったのはレンのほう。
それなのに見知らぬ誰かと寝てはそれを俺に見せつける。なんて酷いやつ。
早く飽きてくんねーかな。
できるだけ酷く捨ててくんねーかな。
副総長のことを名前で呼べる日が、早く来ねーかな。
……こいつと俺、どっちが酷いやつなのか分かんねーや。
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