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可愛い君
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次の日の朝は、いつものように朝というには少し遅い時間に起きた。
これから、学校に行くと思うと少し気が重く、まだ家でジメジメ落ち込んでいたい気分だ。
でも優との約束があるため、重い体に鞭をうち何とか動き出せた。
通学時間はとうに過ぎているため、学校付近まで来ても、誰とも顔を合わす事はなく、授業中のためか校内に入っても生徒の姿を見かけなかった。
何人かの教師と廊下ですれ違ったが、見てないふりをされるか、嫌な顔で見られるかだけだった。
いつもならそんな教師の反応など全く気にかけていなかったが、一昨日のあいつの言葉が胸にあったため、少し悔しかった。
足は、迷うことなく屋上を目指し。屋上には、既に優と健人が座り込んで話に花を咲かせていた。と、いっても咲かせていたのは優の方だけだったが。
「でさ!その男、俺に女役やれって言うんだよ!?信じられる?俺はタチだってヤる前から言ってたのに、マジで鳥肌たったわ、あんな奴のチンコ入れるくらいだったら~」「おい」
これ以上、優の下劣な話を耳にしたくなかったため強引に会話にわりこむ。
「あぁ、斗真おはよ。今日はちゃんと来たね」
「おぉ、来たか」
優は話をきられた事を気にすることなく言い、健人は俺を救世主と言わんばかりに見て言った。
何だかんだ言って、こいつらの顔を見みてると落ち着く。
家にこもっているよりは、ずっと気分が晴れる。
「おはよ」
そう言って、二人に近づき腰を下ろす。
俺が、一息つくのも待たず優は昨日の事を聞いてきた。
「で、どうだったの??」
優に急かされるまま、俺は渋々二人に昨日の出来事を補足を入れながら話した。
「へ~なるほどね。まぁ本名隠してた時点でおかしいと思うべきだったね」
優の顔は呆れている。
何も言わないが健人の方も同じような顔だ。
俺は「いや、だって…」と口篭る。
「てか、昨日の夜の事は忘れて欲しい。って、何なのそのフレーズ。すっごい、いかがわしいよね」
優のその、いきいきとした発言に、如何わしいのはお前だ。とこぼしながら健人は「まぁ、確かにあいつの言い分もわからんこともないな。世間は俺らみたいな落ちてる奴に厳しいし。特にあいつなんかが、お前と絡んでるとこ見られたら教師は黙ってないだろうな。」と言う。
「そうだよな……てか、あいつなんかがって健人もあいつの事知ってんのかよ」
そうジト目で睨みつける俺に。
「あぁ、まぁ」と言って健人はチラッと優を見た。
こいつら、グルだったのか。健人の仕草を見て見当をつける。
「あ、そっか。アキちゃんのこと教えないとだね」
思い出したかのようにそう言って。優はあいつ、日高明希の事を喋り出し、優の話を聞き俺はさらに落ち込むはめになった。
「同じクラスだったのか…」
昨日、流石にそれは無いだろ。と笑っていた自分を張り倒したい、
「まぁまぁ、そう落ち込まないで、斗真君。昨日の発言は俺、忘れてあげるから」
そう言う優の顔は笑いをこらえていた。
「うるせぇな、お前だってクラスの奴、全員の顔なんて覚えてないだろ!」
俺はそう、わめき優を睨みつけた。
「俺は、かわいい子の顔しか覚えない主義なの」と、にこやかにそう言ってのける優に
「お前本当馬鹿だな」と、健人は溜息まじりにつぶやいた。
「ところで、お前はこれからどうするつもりなんだ?」
話を切り替えて、健人がそう聞いてくる。
「どうするって…あいつの事考えてやるんだったら、関わんないようにしてやんのがベストだろ」
俺は未練タラタラな雰囲気を出しながらつぶやいた。
「えー諦めるのー。てかさ、君たちは固く考え過ぎなんだよ。周りの目~とかさ、相手の気持ち~とかさ、自分の気持ちはどうなんだってーの」
優はとことん呆れているようだ。
「そりゃあ、俺だって、出来るならそんなこと考えずにあいつの力になってやりてぇけど」
そうゆう俺のつぶやきに、優がビシッと指をさして
「それだよ、それ。あいつの力になるって何なの?不良と関わったら、変な目で見られちゃう。って言われて、そうだよなごめん、迷惑かけちゃうよな。で簡単に去っていくのが、力になるってことなの?」
と苛立ちを声にのせて言ってくる。
「いや……違うけど」優に言われたことに口篭りながら答えると。
優は、ゴホンっと一息つき、
「世間に縛られた考え方から、彼を助けてあげることこそが、力になるってことなんじゃないのかね、斗真くん。」
よく分からないキャラチェンジをした。
ただ、優の言葉は正論だったし、本当に俺があいつにしてやりたいことでもあった。
俺が、思い悩んでいると、もう一つの声があがる。
「お前、そう簡単に言うけどな。もし実際に無理やりあいつと関わったとして。その結果、あいつの家庭環境とか生活とかを引っかき回すオチになったらどうすんだよ」
健人が優の発言に異議をとなえた。
健人の言葉は俺が最も恐れていることだった。
俺が、さらに悩み始めているうちに優が反論する。
「その時は、二人で逃げるんだよ。世間のしがらみから。」
「お前、それもし相手が同意してなかったら完全に拉致だぞ」
「いいじゃん!拉致でも!!逃げてるうちにおとせばいいんだよ」
「ドラマか何かの観すぎだろそれ」
「健人だって現実の視すぎだよ」
「お前は知らないと思うがな、世の中は現実見て生きなきゃなんねーんだよ」
俺をよそに、二人が言い争う。
これは、俺のため故に起こった争いだよな?
だんだんと話が逸れていく二人に戸惑いがでてくる。
「なぁ、お前らちゃんと考えてくれる気あんのかよ」
俺の、言葉に二人はピタッと押し黙った。
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