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喜んでくれるアンジェロ
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「ただいま」
チャイムを鳴らすと、中からバタバタと駆け寄ってくる足音が聞こえた。その足音に顔を緩ませて、ワイシャツの胸元に隠した子犬をそっと撫でる。
「おかえりなさい、お疲れ様。」
玄関を開くと笑顔で俺を迎えてくれるホーレット。俺の手荷物を持とうとするのでそれを阻止して胸元を指差す。
「一人は寂しいかい?」
「昼間?そりゃあね、少しは。」
「だと思った」
苦しくないようにと止めなかったボタンの隙間から、子犬がわん、ともきゃん、ともつかない声を出した。その声に一度驚き、そして興奮したように目を輝かせる。
「プレゼント。バーニーズでいいかな?ホーレット」
「evviva!!勿論だよ!いいのかい?」
ワイシャツから飛び出した子犬を受け止めてホーレットは笑う。玄関を閉じて、一つの買い物袋を持ってまだ荷物すら置いて居ない一部屋に向かう。
「犬部屋はここでいいかい?」
「いいと思う!」
「そりゃあよかった。嬉しい?」
「とっても!」
部屋の中の電気をつけ、子犬を離す。恐れることもなく興味津々に部屋の中を駆け回った後、ホーレットの元に駆け寄る。
「あれ、この子オスかい?」
「si。そいつが一番可愛かった」
「男しか居ないね、この家。」
「雌は臭いし女は五月蝿い。バンビーナは可愛いけどな」
その発言は怪しいよ、と釘をさしたあとホーレットの腕の中で眠る子犬を撫でた。
「名前はどうする?」
「ヨセフだろ?」
「いいの?」
「勿論。」
「散歩は僕がいってもいい?」
「休日は俺もいく」
「夜は?」
犬用のベッドやおもちゃ、トイレを置く。それでもあまる部屋を見てハウスを買って来なかったことを少し後悔した。
「夜って?」
「寝るのはどっち?」
「それは悪いけど譲れない」
寝ているヨセフを見て苦笑するとホーレットは少しかなしそうな顔をする。悲しそう、というよりは寂しそうな顔。そしてさらに言うなら、絶対勘違いしている顔だ。
「ホーレットは俺と寝る。そこは譲れない」
けして、この純粋無垢な少年を穢すつもりはないが。昨晩の温かみだけは忘れられる気がしなかった。ヨセフをベッドに置いて、二人で部屋を出る。
「そんなにヨセフと眠りたいのかと思った」
「まさか。ただ昨日は久しぶりに深く眠れたんだ」
「僕なんかでいいならいつでも」
神父とは神と近いものとは。こういうことなのだろうかと。綺麗な青い瞳に吸い込まれるようにして眠る。すべての罪が赦される気すらした。
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