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一話 王家に伝える物語
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あるところに、魔王を封じた王様がいました。王様のおかげで、世界は平和になりました。
月日は流れ、王様によく似た可愛らしい王子が産まれ、アエラと名付けられました。
十二歳の誕生日をむかえたアエラ王子は、父である王様から魔王討伐物語を教えてもらいました。
+++
魔王の住む森へ一人向かった王様は、見事魔王を倒しました。
しかし、瀕死の魔王は卑劣にも王様に呪いをかけたのです。
その呪いは、王様が人間と結婚できなくなるというものでした。
呪いを解く手掛かりのためにも魔王を殺すわけにはいかなくなった王様は、城で魔王を幽閉することにしました。
魔王の呪いは七代続く強力なものだとわかり、王家にはお妃様がいなくなってしまいました。
+++
そういえば王子には母親がいません。
しかし、それよりもこのお話を聞いた王子はとても驚きました。
「このお城に魔王がいるのですか?」
王子の言葉に、王様は静かに頷きます。
お話の中でしか知らない存在が近くにいるとわかり、王子はとても興奮していました。
王様は魔王を幽閉している地下に王子を連れて行ってくれました。
この地下室は、今までは王様しか入る事ができなかった特別な場所で、王様以外が入るのは王子が初めてなのだそうです。
隠し扉を開けると、そこは地下とは思えないとても広くて明るい、まるで聖堂のように美しい空間でした。
中央には天蓋付きの大きなベッドが鎮座しており、そこに人影が映っています。
「シルワ」
王様が声を掛けると、薄い布をかき分けて魔王と思しき男が姿を見せました。
ゆったりとした上質な黒い服に、長い黒髪、黒い瞳がとても印象的です。
尖った耳だけが、唯一人間ではないと判断できる部分で、あとは人間と何も変わりませんでした。
王子は魔王が今までに見た誰よりも綺麗だと思いました。
魔王が口を開きます。静かなのによく響く美しい低音が耳に届きました。
「レクス、もしかしてその子がアエラか?」
レクスとは王様の名前です。王様は小さく頷きました。
「ああ。会いたがっていただろう」
王様は無表情なまま王子の背中を押して、魔王のそばへ向かわせました。
魔王は王子を見つめ、優しく微笑みを浮かべます。
「初めまして、アエラ王子。俺はシルワ。見ての通り幽閉されている魔王だ」
魔王は自らの首に付けられた重そうな鉄の首輪から伸びた鎖を持ち上げて見せてくれました。
想像よりも陽気な魔王に王子は困惑して黙り込んでしまいます。王子の顔には照れが強く浮かんでいるのがわかります。
その様子を見た王様が魔王討伐物語の続きを話し始めました。
+++
人間と結婚できなくなった王様は、魔王に全ての責任を負わせることにしました。
呪いには呪いを。
王様は人間の法律で禁止されている秘術を魔王にかけました。
魔王は人間ではないので許されるのです。
それは男でも子供が産めるようになる呪いでした。
+++
王子は気付きました。
目の前にいる魔王が自分を産んだ母親なのだと。
王様は言いました。
「七代もすればさすがの魔王も命が尽きて呪いが解ける。それまでは魔王を使って子孫を残さねばならない。王家の宿命だと思って受け入れろ」
吐き捨てるように告げた王様は一人で部屋から出て行ってしまいました。
その怒りを滲ませた様子に、王様は魔王が嫌いなのだと王子は思いました。
魔王は王様の態度を全く気にせず王子に話しかけます。
「アエラ、これからお前はいつでもここへ来る事ができる。気が向いたらでいい、俺の話し相手になってくれないだろうか」
王子は毎日でも来たい気持ちでしたが、日々王族としての教養を身に付ける授業が朝から晩まであるのです。
それでも四日に一度は訪れる約束をしました。
王様に冷たくされて魔王は寂しいはずだと、王子は幼いながらも魔王の孤独を埋める使命感に燃えていたのでした。
それから王子は約束通り、必ず四日に一度は魔王の元に向かいました。
ベッドに腰掛けながら今日習った事を話したり、外の様子を身振り手振りで伝えます。
それを聞く魔王は沢山笑い、沢山質問してくれました。
魔王は美しいだけでなく、とても優しくて、長生きしているため知識が豊富で聡明です。王子はあっという間に魔王の事が大好きになりました。
王様に魔王の話をすると、みるみる機嫌が悪くなる王様の代わりに魔王を大切にしようと決意したくらいです。
ある日の事。
王子は魔王に褒めてもらいたくて勉強も作法も剣術も今まで以上に熱心に取り組み、大人たちも驚く上達速度になっていました。
用意された課題を早く仕上げればそれだけ魔王との時間が取れると考えた王子は、この日、昼過ぎには一日の授業を終えていました。
教育係たちも『たまにはゆっくりするのも良いだろう』と、残り時間は遊びと休息にあてるようにと言ってくれました。
当然、王子は魔王のいる地下へ向かいます。
しかし、扉に触れると魔王ではない声が聞こえ、王子は息を殺しました。
「シルワ。私の愛するシルワ……」
その甘ったるさすらも感じる声で魔王の名を呼んでいるのは、魔王を嫌っているはずの王様でした。
「ん、ん……ぁ……俺も、愛してる……レクス……レクス」
王様と同じくらい甘さを含んだ声で、魔王も王様の名を愛おしそうに呼びました。
扉の隙間からは、布が大きく開かれたベッドの中の様子が窺えます。
二人共何も着ておらず、裸で抱き合い、何度も何度も口付けを交わしていたのです。
突如王子の背筋に衝撃が走り、下腹部に違和感を覚えました。
慌てて下を確認すれば、下着の中がベトリとした白い粘液で濡れています。
これが精通であると王子は知識としては知っていましたが、興奮は高まるばかりで手は自らの陰茎に自然と伸びていました。
「レクス、もう、挿れて……」
「ああ、私もシルワが欲しい」
王様が魔王の両脚を広げ、その中心に腰を進めました。
「あ……あっ……んぅ……アアッ」
魔王は王様が動く度に苦しげなのに、悦びを含んだ声をあげます。
陰茎を握る王子の手は、魔王の声に合わせて上下に激しく動いてしまい、快楽がせり上がってきました。
「シルワ、気持ち良いか?」
「あぁ、あ……きもち、いい……ッイく……イっちゃう……」
「イイ子だ、シルワ……中が締まって、感じているのが伝わってくる……可愛いな、もっと、私を感じて」
「ヒァッ、ああっ、感じる……レクス、レクス……だめ、また、イく……ぅ!」
声にならない叫びと共に、魔王の足先がビクビクと痙攣しています。
泣き声すら混じっているのに、王様は容赦なく魔王に腰をぶつけ、その度に魔王の身体が激しく震えました。
王子は魔王を助けてあげなければいけないと思うのですが、気持ちに反し、瞬きも忘れて食い入るようにその姿を見つめて陰茎を擦り、何度も何度も射精を繰り返しました。
どれくらい時間が経ったのでしょう。
ベッドが軋む音と魔王の声が止むと、王様が言いました。
「そろそろアエラを迎える準備をしなければな。今日、会いに来る日だろう」
突如自分の名前を呼ばれ、王子は叫びそうになりましたが必死に声を抑えます。
荒い息遣いの魔王がゆっくりと体を起こしました。
「……ああ、最近授業を頑張っているから、課題を終わらせて随分と早く来てくれるようになった」
「ふふ。可愛くて、立派だろう」
そう言った王様は、王子に見せた事のない緩んだ表情をしていました。
王子は大変驚きました。王子はずっと王様の事を『無表情でどんな時も冷静でまるで機械のようだ』と思っていたからです。
数々の感情が王子を襲いましたが、一先ずこの場を離れて出直さなければいけないという判断はできました。
物音を立てないように王子は自室に帰り、下腹部を綺麗に拭き、衣服を着替えてしばらく時間を置いてから再び地下へ向かいました。
「やあ、いらっしゃいアエラ。来てくれて嬉しいよ」
笑顔で出迎えた魔王は、さっきまでの乱れた様子は一切残さずいつも通りです。
王子はこの一日で、大人には色んな顔があるのだと身をもって学んだのでした。
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