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最終話 世界に伝わる物語
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アエラ王子は十八歳になり、王様から秘術を継承しました。
何年も体を重ねて馴染ませたこともあり、秘術の定着は良さそうです。
「ヒッ……アッ、あぁ、おく、ダメぇ……!!」
魔王は両脚は大きく開き、手首と足首が短い鎖で繋がれていて脚が閉じられないように拘束されています。
身動きが自由に取れない魔王を、王子は容赦なく犯します。
「ふふ、シル……奥大好きでしょ。もっとコンコンしてあげるね」
「うぁっ、ひっ、い、やぁっ、とまらなッ……イくの、とまんないッ……ヒゥッ、あ゛、アァっ!」
「いいよ、シル……ギュウギュウ僕を求めてくれてる……あぁ、僕もイきそうだ……さあ、孕んで、僕達の子を……ッ」
王子は魔王の好きなポイントを的確に突きながら、奥へ奥へと精を放ちます。
熱い王子の子種が魔王の身体に染み渡りました。
「あ、ァ……おなか、あつい……きてる……ッ」
「赤ちゃん、楽しみだね、シル」
「んん、ンッ──うッ……んぁ……アエラぁ……」
「だめだよ、シル。僕はシルのなに?」
「う、ぅ……お、俺の……旦那さま……」
よくできましたとばかりに、王子は魔王に口付けを顔中に落としました。
「次は後ろからがいいなぁ。拘束具を変えようか」
「ん……」
魔王が王子の童貞を食べた時に調子に乗って絞り尽くしたため、王子はその反動で身動きできない魔王を快楽責めにして抱くことが趣味になってしまいました。
完全に魔王の自業自得なので、王様も止めることはしません。
それどころか、王様との愛の時間にも拘束が頻出するようになりました。
×××
王子が大人になっても、親子三人はとても仲が良いままでした。
王子は王様にそっくりでしたが、冷たい印象の王様よりも、王子は垂れた眉が優しげで温かな印象を与える青年になりました。背はすでに王様を追い越していて、そこが魔王に似た唯一の部分でした。
この日も親子三人でゆっくりとお茶をする予定ですが、少しだけ仕事の影響で王様の合流が遅れています。
王子と魔王がいつものようにベッドに腰掛けて二人で話していました。
「僕ね、最初はてっきり、パパはシルの事が嫌いなんだと思ってたんだ」
王子の言葉に、魔王は数度瞬きをしてから言いました。
「何故だ」
心の底からわからないといった様子です。王子は素直に子供の頃に思っていたことを伝えます。
「初めてシルと会った時も、パパにシルとの出来事を話す時も機嫌が悪かったから」
「……それは俺に対してではなく、アエラに対しての不機嫌だと思うが」
その魔王の言葉に、今度は王子が心底意外そうに言いました。
「パパは僕のこと大好きだから僕に対して機嫌が悪くなるなんてありえないよ」
自信に溢れた王子の言葉に、魔王は一瞬怯んでしまいました。しかし、魔王とて負けてはいられません。
「いや、パパは俺のことが大好きだから絶対嫌いになることもないし、俺に機嫌が悪くなるなんて今まで一度もないし、これからもない!」
「えっ」
「えっ」
王子も魔王も、王様に自分が一番愛されていると信じて疑わなかったので平行線をたどりました。
その様子を陰から見ていた王様は、伴侶と息子の可愛さに意識が飛びそうになっていました。
不器用なりに二人に全力の愛で接していた王様にとって、この会話はこれ以上ない幸福です。このまま見ていたい気もしますが、愛する二人を不安にさせ続けるわけにはいかないため、王様は急いで姿を見せます。
「それに関しては不安にさせて本当にすまなかった。アエラをどれだけ愛していても、どうしてもシルワを取られる嫉妬心が隠しきれずに逃げ出してしまった……己の弱さに怒りを感じていたんだ。二人に対して悪い感情を抱いたことは一度もない」
誠心誠意、王様は頭を下げました。
王子と魔王は、顔を見合わせて笑います。
ふと、王子は前から気になっていたことを尋ねてみました。
「パパとシルは愛し合っているのに、なんで呪いなんて嘘をついたの?」
王様は言いました。
「私がシルワをそばに置く理由を、世間に受け入れられやすい形にした。アエラが周囲の教育で魔族に偏見を持っているのかを見るためでもあった。本来、差別なく魔族が受け入れられる世界だったら必要のない物語なのだがな」
魔王と王様は、作り話ではない本当の物語を王子に教えてくれました。
王様が魔王に一目惚れし、ただ純粋に愛し合っていること。それは一番近くで見ていた王子が最もよく知っています。
魔王の寿命まで王様は共に生きることができないため、王様は魔王に家族を残したい。
最も信頼できる我が子にこの願いを託し、いつか魔族が再び繁栄できることを願っていると王様は語りました。
王子は情報をかみ砕き、考えをまとめます。
「えっと……シルと近親相姦を続けて、最終的には僕達の子孫は人間の血が薄れて、魔族になればいいな〜ってことで合ってるかな」
「ああ。魔族を絶滅させないためにも私はこれが正しいと思っている。私の考えは恐ろしいか?」
誰が聞いても王様をまともだとは思えないでしょう。
愛する者を子供に抱かせ、より濃い魔族の血と子孫を残そうだなんて、呪いの方がよほど現実的に思えます。
それでも王様の瞳は澄んでおり、本気なのです。
いずれ魔族に対する偏見は消え、時間はかかるかもしれないが人間と魔族が共存できる世界が訪れる。
そう、王様は考えているのです。
王子は、しっかりと王様の希望を受け取りました。
「ううん。恐ろしくなんかない。魔族も人間も仲良くできる世界になるよう、僕もパパに負けないくらい頑張るよ」
***
むかしむかしのお話です。
今では考えられませんが、人間が短命で、魔族が迫害されていた時代がありました。
そんな時代。たった一人、魔王だけが生き残り、絶滅寸前の時に人間の王様と出会いました。
王様は恋という呪いにかかり、それはそれは魔王を大切にしました。
王様と魔王は結婚し、いつしか子供が生まれ、お城の地下でひっそりと幸せに暮らしました。
しかし、短命な人間の王様は魔王とずっと一緒にはいられません。
王様は子供に魔王を託します。
子供が大きくなり、大人になると魔王と結婚しました。
魔王の寿命が尽きるまで、魔王は子孫と結婚し続けます。
時の流れの中で、飢饉や災害、戦争などで人間がどんどん減り、ほとんどが死に絶えました。
そんな中、唯一生き残ったのが、頑丈な魔族と混血であった王族でした。
王様と魔王の五代目の子孫で王制が廃止されてしまいましたが、耳が尖っている魔族も、耳が丸い人間も、今いる全ての人類がこの王様と魔王がルーツだと言われています。
魔族も人間も、寿命がほとんど変わらず、差別なく愛し合える世界になったのは実は意外と最近のことなのです。
***
「シルワ、ご飯だよ! って……またその絵本を読んでいるのかい?」
シルワと呼ばれた青年は、町でも評判の艶やかな長い黒髪が目をひく美しい男です。
何度も読み込まれたボロボロの絵本を閉じました。
「別に何回読んでもいいだろ。俺が作者なんだから」
シルワは資料がほとんど残っていない王族についての本ばかりを書く変わり者で、現在は挿絵の王様に似ている男と深い森の小屋で暮らしています。
朝食をとると、シルワが森で拾ったという眉唾ものの“王家に伝わる聖剣”を腰にさし、男と二人で日課の散歩に出掛けました。
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