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待ちに待った昼休み。
先輩は柳津さんに連れられて、一足先に部署を出て行った。
タイマーを入れ、じっと席で待つ。
5分…。5分後に先輩と二人きり…。
長いような短いような5分間。
タイマーが0になる瞬間に、約束の会議室の前に到着した。
「時間ぴったりすぎるだろ…。」
俺を見つけた柳津さんは時計を見て苦笑する。
「早く先輩に会いたい。触りたい。」
「言っとくけど、約束通り、がっつくなよ?」
「気をつけます。」
「あと、綾人が過呼吸起こしたりとか、拒否ってきたらどうする?」
「………俺は退室して、柳津さんを呼びます。」
「行ってよし。」
本当は俺が抱きしめて安心させてあげたいけど、今の俺じゃ、きっと逆効果なんだと思う。
柳津さんの望む答えを返すと、会議室に入る許可が降りた。
大きく一回深呼吸を挟み、ドアノブを握った。
会議室に入ると、窓の外を見つめる先輩が立っていた。
「………先輩。」
「っ…!」
声をかけると、先輩は肩を震わせて驚き、俺の方へ振り返った。
ヤバい。緊張する……。
「近づいてもいいですか…?」
「……うん。」
許可をとって、一歩ずつ先輩に近づく。
先輩は顔を赤くして、合わせていた視線を床に逸らした。
見てないことをいいことに、大股でさらに近づく。
先輩の目の前に立つと、先輩は小さい声を発した。
「近…すぎない……?」
「そうですか?触れていいって聞いたんですけど…。」
「い…ぃ…けど……。」
よかった。
いきなり断られたら、どうしようかと思った。
触れるって、まずは何だ…?
「手、握っていいですか?」
そう聞くと、先輩は小さく首を縦に振った。
可愛い…。
包みこむように両手で先輩の右手に触れる。
爪、指の間、手のひら。
俺の体温が伝わるように、ゆっくり優しく、丁寧に触れる。
「大丈夫…?」
「ぅ……ん……」
「よかった…」
触っても過呼吸は起きなかった。
ほっとして安堵のため息をつく。
これ以上、触れてもいいだろうか…?
先輩に近づきたくて、俺は先輩の手の甲にキスをした。
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