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今は多分、先輩は俺の顔見れる状況じゃないんだろうな。
そう思って一足先に部署に戻る。
もう昼休み終わりか…。腹減った……。
先輩も何も食ってねーよなぁ。お腹すいただろうな…。
しばらくして先輩と柳津さんが帰ってきて、デスクに着いた。
俺は少し早めのブレイクタイムという体で、先輩に珈琲とお菓子を持っていく。
お菓子は少し前に帰りに寄った百貨店で買ったやつ。
先輩が好きだろうなって思ってたら、いつの間にか買ってしまっていた。
「先輩、どうぞ。」
「えっ…?」
「お腹すいたでしょ?ごめんなさい、俺のせいで食べ損ねちゃったから。」
「ち、違う…!けど…、ありがと…。」
目は合わせてくれなかったけど、しどろもどろにでも会話もしてくれて、俺は満足だった。
お菓子食べた時、嬉しそうに口角上がってんのは可愛かったな…。
定時になると、先輩はそそくさと帰ってしまった。
俺も先輩がいない職場に滞在する理由はないので、帰る準備をして会社を出た。
家に帰って、玄関に置いてある先輩とツーショットの写真を手に取り、先輩にキスする。
「ただいま。」
もちろんおかえりの声はなくて、一人寂しくリビングへ向かう。
二人分夕食を作り、風呂を沸かして先輩の帰りを待つ。
つっても、今日の雰囲気で帰ってくるわけないんだけど。
「あー……、好き………。」
今日先輩のことを抱きしめた。
ちょっと無理矢理だったかもしれないけど、幸せで堪らなかった。
だって、あんなに触れたかった先輩にやっとの思いで触れられて、手だけで抑えられるわけないじゃん。
やっぱり俺には先輩が必要だ。
「帰ってきてくんねーかな……。」
今日は金曜日。
明日と明後日は休みだから、先輩には会えない。
こんなに仕事が早くきて欲しいと思ったの、付き合う前以来だな…。
ソファで仰向けになりながらスマホをいじっていると、ポコンッと軽快な通知音とともに、バナーでメッセージが表示される。
『望月綾人:明日、会える?』
?!!?!
俺はびっくりしてスマホを顔に落とした。
鼻に直撃してめちゃくちゃ痛いけど、それどころじゃない。
アプリを開くと、本当に先輩からのメッセージだった。
『会えます。何時にどこに行けばいいですか?』
過去最速の速さで文字を打ったと思う。
嘘?マジで?本当に?
嬉しくて頭がまわんねぇ。
『15時に、家帰る。』
家っ?!!
家ってここ?だよな??
「やべー…。マジ?帰ってくる?」
語彙力の低下とはこのことだ。
この浮かれ具合を悟られたくなくて、返事はシンプルにした。
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