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あぁ、俺って馬鹿だな…。
少し触れるだけのキスで止めようとしてたのに、終われるわけなかった。
柔らかい先輩の唇。
一回じゃ満足できなくて、何度も何度も角度を変えて重ねる。
これ以上はダメだ。
そう思って離れようとした時、先輩の腕が俺の首に回り、引き寄せられた。
「……しろ…さ…き……」
「〜〜っ」
涙が出そうになった。
無意識に俺の名前を呟いた先輩。
あまりにも嬉しくて、俺は先輩を抱きしめて唇をまた重ねた。
舌でノックすると、唇が少し開いて、その隙間から舌をねじ込む。
先輩の口内は酒臭いけど、温かくて気持ちよくて、俺は夢中になって貪った。
「んっ…、ん……」
先輩の感じてる声。
何度も聞いて、耳に残っていたはずのそれが、ひどく懐かしく感じる。
好きだ。愛してる。
「先輩っ…、先輩……ッ」
起きないで。
このまま眠っていてください。
起きたら、この夢のような時間は終わってしまうから。
「先輩…っ、好き……、愛してます…っ」
ぼろっと大粒の涙が溢れた。
こんなに思ってるのに、あんなに愛し合ったのに、どうしてこうなってしまったんだろう?
全部俺が撒いた種だって分かってる。
俺が悪いのは分かってるんだ。
でも、どうか許してほしい。
また、前までみたいに俺に愛されて、そして俺を愛してほしい。
「先輩……」
ぎゅぅっと力強く抱きしめると、先輩も無意識に俺の背に手を回した。
夢みたいに幸せで、俺から先輩を離すことなんてできなくて、抱きしめたまま眠りについた。
久々に熟眠して、目が覚めた時にはもう陽が昇り、カーテンから朝日が差していた。
先輩はまだ爆睡していて、最後に触れるだけのキスをしてベッドから出る。
先輩が起きる前に荷物を片し、俺の痕跡を失くす。
逃げ出すようにホテルを飛び出した。
外に出て、スマホである番号に電話をかける。
「もしもし。」
『なぁに…、こんな朝から……』
電話越しに、まだ眠そうな麗子ママの声。
朝から起こしてしまったのは少し申し訳ないけど、話がおかしくなる前に伝えておかないと。
「ごめん、麗子ママ。先輩のホテル代、麗子ママが出したってことにしといて。」
『え…?どーゆうこと…?』
「あのあと先輩をホテルに寝かせてきたんだよ。ネカフェ泊まるとか言ってたらしいから、先輩のホテル代払ってきた。麗子ママの名前で払っといたから、先輩が何か聞いてきたら麗子ママが払ったってことにしといて。」
『え?えぇ…?』
「よろしく。」
俺は麗子ママにそれだけ言って電話を切り、帰路に着いた。
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