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「出張の準備できましたか?」
『え?あぁ、まぁある程度…。』
話題を変えて振ってみる。
話が途切れて、電話まで終わっちゃうのが嫌だったから。
「本当は行ってほしくないんですよ…?蛇目さんとなんて、聞いてなかったし……。」
『あぁ、ごめん……。』
思い出しても腹が立つ、あの蛇目さんの勝ち誇ったような笑み。
一回一緒に出張行ったところで、先輩が靡くわけないし…。
ない……よね…?
いや、ないない。絶対ない。
『城崎……』
「……へっ?!なんですか?」
『……やっぱ何もない。』
悪い想像をしていたら、先輩から名前を呼ばれたことに一瞬気づけなかった。
俺のバカ…!!
先輩言うのやめちゃったじゃん。
「え〜?!気になるじゃないですか!何?教えて?」
少し冗談っぽく尋ねる。
これで話してくれると思ってるわけではないけど…。
『…………来週の土曜日、空けててほしい…。』
?!?!
土曜日?!
先輩が帰ってきてすぐってこと?!
思っていたよりも数日早い約束に胸が躍る。
「もちろんです!!一日中暇ですよ!」
『また連絡する。』
「待ってます!」
『ん。』
「ねぇ、先輩。もう少しだけ話したい。付き合ってくれますか?」
『あぁ。』
多分それからの俺は、先輩が聞いてても分かるくらいご機嫌に話してたと思う。
だって嬉しい。
やっと話せる。謝ることができる。
誤解を解いて、また先輩が俺と向き合ってくれますように。
「先輩、明後日やっと会えるの、嬉しいです。」
『うん。』
「先輩の大好きなもの、たくさん作って持っていきますね。」
『出張までに食べ切れる量な。』
「いっぱい作っちゃうかも。先輩、ちゃんと食べてね?」
『食える範囲でな。』
数分話して、先輩から通話を切った。
俺は早速メモに先輩の好物を列挙していく。
明日は買い物と作り置きで時間潰せそうだなと、頭の中で予定を組み立ててから、気持ちよく眠りについた。
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