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何か引っかかることがあるなら教えてほしい。
けど、これ以上先輩は何も言ってくれなさそうだ。
少し話題を変えて、さっき気になったことを質問してみる。
「ねぇ、先輩。どうして俺がもう先輩のこと好きじゃないかもって思ったの?」
「だって……、ホテルに俺を運んでくれたとき、何もしなかっただろ…?」
「え……………。あー…………。」
そういうことか。
てか、あのとき先輩が寝てるのをいいことに、キスしまくったけど…。
なんなら舌ねじ込んで、思いっきり堪能しちゃったし…。
隠し事してることに少しの罪悪感が芽生え、俺は視線を逸らした。
ていうか、この発言どういうこと?
触ってもよかったってこと…?
抱いてもいいなら抱きたいに決まってるじゃん。
「だって先輩、俺と話したり、触れられただけで過呼吸起こしたりしてたのに、ダメでしょ……。」
「え…?」
先輩はキョトンとした顔になった。
まさか俺が自制もできない脳内性欲だらけの猿だと思ってる…?
いや、まさかね…。
「過呼吸って苦しいでしょ?先輩が苦しい思いするのは嫌だ。」
「城崎……」
「あと拒否られたら、結構キツイし…。半分自分守るためってのもありました。」
先輩に突き飛ばされたとき、人生終わった…と思うレベルでショックだった。
あの経験はできればもう味わいたくない…。
「……ごめん。」
「もう大丈夫…?」
「えっと…、あー、そのことなんだけど…。」
触れたい。
そのつもりで聞いたんだけど、先輩は言いづらそうに俺に伝えた。
「ここに戻る条件がある。」
条件…。
どうやら一筋縄では戻ってきてくれないらしい。
まぁ条件がなんであろうと、先輩が帰ってきてくれるなら飲むんだけど。
「しばらくは必要以上に触れないでほしい。」
「え…。」
「城崎に抱きしめられて安心した。でも、いきなり前みたいなスキンシップの多さは、多分俺の身体がついていかない…。」
さっきからめちゃくちゃ触れてるんだけど。
前みたいなスキンシップの多さって、多分ただいまとかおかえりのキスとか、すぐに先輩を抱きしめて敏感なとこ触っちゃうとか、そういうことだと思う。
必要以上に触らないって……。キツ。
「少しずつ慣らしていきたい。協力してほしい。」
「…………わかりました。」
キスとかセックスはめちゃくちゃ頑張って我慢するけど、ハグもダメ?
必要以上にって、俺はどれもこれも必要なんだけど。
うぅ……。
「あと、家に帰るときは、今日みたいに一緒にいてほしい…。」
先輩はもう一つ条件を出してきた。
それは飲む。もちろん飲む。
少しでも先輩と居れる時間が増えるなら、大歓迎だ。
「もちろんです。仕事は一緒に帰りましょう?先輩が出かけるときは、駅まで送り迎えもします。約束する。」
「うん…。ごめんな、迷惑かけて。」
「迷惑じゃないです。先輩と一緒に居れる時間が増えるなら、俺も嬉しい。」
抱きしめたい…と思って手を伸ばして、その手を諦める。
今抱きしめるのは"必要以上"に含まれてしまうのか…?
「ちなみに…、甘えるのもまた今度ですか…?」
「それは…、後でって約束したから、いいよ…。」
いいのっ?!
俺はすかさずソファに座る先輩の太腿に頭を乗せ、満足いくまで頭を撫でてもらった。
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