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月曜日から二人で一緒に出勤し、一緒にタイムカードを切って退社した。
先輩が残務があれば俺も残るし、俺が遅くなったら先輩が待ってくれる。
駅からマンションまで歩く時、先輩は必ず俺の手を握る。
いつも顔が強張り、繋いだ手はしっとりと汗ばんでいる。
異常に緊張しているんだと思う。
あの雨の日を思い出してしまうんだろうか?
あの日の先輩は、とても脆くて危ないと思った。
だから、また先輩が恐怖心に襲われないように、俺が守らなきゃって、そう思った。
夜は一人でソファで眠る。
寂しいけど、先輩が出ていってしまったあの日々と比べたら平気だ。
同じ屋根の下に先輩がいる安心感で、ちゃんと眠れるようにもなったし。
睡眠だけじゃなくて食事も。
先輩が帰ってきて、バランスの良い食事を作るようになったから、先輩も俺も肌艶が良くなった。
お互いどれだけ不摂生だったんだよってくらい、今まで通りの食事でみるみる健康的になった。
穏やかに過ごしていたはずなのに、水曜日の夜、突然俺のスマホに一通のメールが届いた。
「なんだよ…、これ……。」
いつも通り仕事を終え、先輩と手を繋いで帰宅し、バッグを置きに自室へ来た時だった。
蛇目さんから…。
メールに添付された画像を開くと、そこにはベッドに眠る半裸の先輩が写っていた。
「は……?どういうこと…?」
浮気…?
こいつと寝たのか?
俺のことは震えるほど怖いのに、こいつには体を許したのか?
なんで?どうして?
黒いグチャグチャした感情が溜まっていく。
そんなわけない。
先輩が浮気するわけ……。
本人に聞くのが一番早いと思って、先輩のいるリビングに向かう。
先輩は音楽番組を見て、鼻唄を歌っていた。
「先輩、どういうことですか?」
「……?」
声が震える。
先輩は俺を振り向いて、首を傾げた。
「出張のとき…、信じてたのに……。」
「待って。何のこと?」
出張とまで教えて、分からないんだ…。
隠すの?
俺が浮気したと思ったから、その仕返し?
「自分自身に聞いてみたらどうですか?」
「なぁ、待てって!」
泣きそうだ。
顔を見られたくなくて、先輩に背を向ける。
リビングを出ようとすると、先輩に手を掴まれた。
振り返ると、先輩は本当にわからないって顔をしていた。
不安そうに、今こうして俺を掴む手だって微かに震えているくせに。
「しばらく一人にしてください…。頭冷やします。」
先輩の手を離す。
こんなに勇気を出して俺を引き留めてくれている先輩に、今の俺はどんな酷い言葉を投げるか分からないから。
その後は先輩と一切口を聞かないまま、一人で眠りについた。
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