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幸せ……。
微睡の中、温かくて気持ちいい何かに擦り寄る。
ん…、先輩の匂い…。
もっといっぱい感じたくて、顔を埋める。
布団っぽくもないし……、ん……?
「城崎…、城崎ってば…!」
「ん……?え、あ?……あっ?!」
先輩の声がして目を開けると、目の前に先輩の首筋、顔を上げると焦った先輩の顔。
寝惚けてるのをいいことに、めちゃくちゃ近づいてしまっていて、俺は慌てて先輩から手を離した。
「寝惚けすぎ…。」
先輩は少し困ったような顔をして照れていた。
えぇ…、何それ。
可愛いんですけど……。
「先輩、おはようございます。愛してます。」
「は、はぁっ?!」
唐突に言いたくなって告白すると、先輩は顔を赤くして俺をぽこぽこ叩き始めた。
「痛い痛い!ごめんなさい!言いたくなって!」
「バカ!いきなりそういうのやめろ!」
可愛い……。
この殴りも照れ隠しだと思うと、愛おしくて仕方ない。
先輩の手を押さえながら謝る。
はぁ〜…、昨日から先輩ってば、俺を困らせまくってる。
可愛すぎてどうしたらいいか分からない。
「先輩、一緒に寝てくれてありがとうございました。」
「……ぅん。」
「今日も一緒に寝ていいですか?」
「……気が向いたら。」
素っ気ない。
でも、"嫌"って言わないってことは、いつもの天邪鬼を発動してるだけ?
一緒に寝たいって言わせたいけど、それはまだ難しいのかなぁ…。
「先輩、今日は何しますか?」
「ごめん。今日実家行くんだ。」
「え?」
「言ってなかった。ごめん。夜には帰ってくるから。」
「そっか…。」
今日は昨日の延長線上でイチャイチャできるかも…なんて期待してた。
実家だったら仕方ない。
でも、最近先輩実家に行くこと多くないか?
前に先輩が有休消化したときもだし、あの泥酔してゲイバーで酔い潰れてた時もたしか実家に帰ってたはず。
しかも実家から帰ってきてあの悪酔いぶりって…。
もしかして親の不幸とか…?
それなら俺が不安にさせたのと重なって、めちゃくちゃ体調崩してたのとかも納得いく。
こんな時に支えてあげられないなんて、俺は恋人失格なんじゃないか…?
「もし凹んで帰ってきたら、癒してくれる…?」
「っ!!もちろんです!」
凹んで帰ってきたら…。
抱きしめて安心させてあげたい。
たくさん愛して、ここにも先輩の居場所はあるよって伝えるんだ。
先輩が着替えて出かける準備をしている間に、俺も駅まで送るために着替える。
玄関で靴を履く先輩を背中から抱きしめた。
「先輩…」
「ん…?」
「元気出して。」
「ありがと。」
「駅まで送ります。」
先輩を駅まで送り、改札で別れて、電車が発車するまで見届けた。
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