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仕事帰りに透さんの家に寄る。
相変わらずすげぇな、ここ…。
「え、ここ?」
「はい。45階だったかな。」
「?!」
普通ビビるよなぁ。
タワマンに住んでる知り合いなんて、透さんくらいだ。
エントランスに入り、コンシェルジュに名前と用件を伝える。
しばらくすると中へ通され、エレベーターに乗り込んだ。
そわそわと落ち着かない先輩が可愛い。
手を繋ぐと、少し安心したような顔になる。
45階に着き、透さんの部屋のインターホンを押した。
「いらっしゃ〜い!」
「圭さん、こんばんは。昨日はありがとうございました。」
「ご迷惑おかけしてすみませんでした。ありがとうございました。」
「えへへ〜。もっちーさん、元気そうでよかった!中にどうぞ?」
圭さんが出迎えてくれて、部屋の中に通される。
すげー良い匂いするんだけど。
「透さんは?」
「透はまだ仕事だよ〜。多分もうすぐ帰ってくると思うけど。」
「倉科さんが帰ってきたら、挨拶して帰るね。」
「え〜〜。なんでー!一緒にご飯食べよーよ!」
先輩は圭さんのおねだりに困っていた。
俺もこの甘ったるい愛の巣に長居する気はない。
「圭さん、本当に帰ります。俺も早く帰って先輩のこと甘やかしたいし。」
「はっ?!」
「じゃあ早く帰らせてあげないとだねぇ〜。」
圭さんはニマニマして俺を見た。
甘やかすって、抱きしめるくらいしか今はできないけどさ…。
「ただいま。」
「あ!透〜っ!」
圭さんはパタパタとスリッパを鳴らしながら玄関に走っていった。
それから5分後、リビングに透さんと顔を真っ赤にした圭さんが帰ってきた。
その表情を見れば何があったかなんて、なんとなく想像がつく。
先輩もつられて顔を真っ赤にしていた。
「望月さん、体調は大丈夫ですか?」
「え、あ…、はい…。ご迷惑おかけしました。」
「いえ、ご無事で何よりです。」
透さん、余所行きの顔してるな。
まぁこの人、表の顔も裏の顔もどっちもモテるには変わらないんだけど。
「透さん、これ先輩と俺から。昨日は本当にありがとうございました。」
「わざわざいいのに。望月さんもありがとうございます。」
「いえっ、そんな…。大したものじゃなくてすみません。」
紙袋を手渡すと、透さんは受け取ってすぐに圭さんに渡した。
多分お菓子の類だとすぐに分かったからだ。
ていうか、タワマンの圧なのか、透さんの圧なのか、先輩の体がずっと強張ってる。
早く家に帰って、緊張解いてあげたいな…。
「じゃあ俺たち、もう帰りますね。」
「あぁ、気をつけてな。」
「お邪魔しました。」
「望月さん、圭が喜ぶから、また来てやってください。」
「はい。本当にありがとうございました。」
先輩の肩を抱いて、透さん家を後にする。
タワマンの敷地から出ると、先輩は「はぁ〜……」と大きくため息を吐いた。
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