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人形が出会ったのは、ただの我儘な子供だった。
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「俺もだよ。……俺も、零次とただの友達になりたかった」
涙で顔をぐちゃぐちゃにして言う。
「うっ。俺、本当はお前と離れんの嫌だった! すげぇ嫌で、他に方法はないのかってめっちゃ思った。脅されてたのに! 地獄に戻るハメになるわかってたのに、お前とずっと一緒にいたいと想ってた……俺、お前とずっと一緒にいたい!」
零次が俺の服の裾を縋るように掴む。
「うん。俺もずっと一緒にいたい! お前が死んだら、生きていけない!!」
零次の背中に片腕を回して、零次の服を強く強く握りしめる。
――神様は残酷だ。
神様はきっと、俺達の結末にハッピーエンドを残していない。
「じゃあ二人で心中でもするか? 俺の父親がここに来る前に」
「えっ」
思わず零次の背中から手を離す。
「ハッ。嘘だよ嘘。そんなことしねぇよ。俺だけ生き残ったりしたら、絶対嫌だし」
涙を拭いながら、俺を小馬鹿にするみたいに零次は笑う。
その笑顔は痛々しくて、とても辛そうな顔だった。
「零次……俺は本当にお前と一緒にいたいよ」
俺は零次を見て、泣きながら言った。零次はそんな俺を見て、泣きながら笑った。
「ああ、俺も。でも無理だ。俺達は一緒にいても幸せになれない。一緒にいたら、多分どちらかが死ぬか、あるいは両方死ぬハメになる。そういう運命なんだよ。俺達が一緒にいても、バッドエンドにしかならない」
その言葉は、俺が想った言葉と殆ど同じ意味だった。
「れっ、零次」
「海里、ここまで来てくれて本当にありがとな」
「え?」
「じゃあな」
零次は立ち上がると、海に向かって走った。
俺は慌てて立ち上がって、零次の後を追い、海の中に入ろうとする零次の手を掴んだ。
「ふざけんな!! 何で人の自殺は止めたくせに、死のうとすんだよ!」
声が枯れる勢いで泣き叫ぶ。
零次が死ぬなんて、そんなの冗談じゃない!
「だって父親に殺されて死ぬくらいなら、自分で死んだ方がいいじゃん」
零次が言った言葉は、絶望していた俺が想っていたことと、全く同じだった。
「それ言われたら確かに否定できねぇけどさ……俺は嫌だよ。お前が死んだら」
「はぁー、じゃあ一緒に逃げるか。海外でも。居場所バレそうになったら逃げるのをひたすら繰り返して、俺の父親から逃げまくるか」
俺の頭を雑に撫でて、零次は笑った。
「でも、そんなことしたら」
「ああ。たぶんいつか見つかって、俺が親父に殺される」
目じりを下げて、零次は途方に暮れたように顔を伏せる。
「そんなの嫌だよ。俺、零次とずっと一緒にいたいし」
「ああ、俺もずっと一緒にいたい。でも無理なんだよなぁ……」
零次の涙が、俺の包帯に落ちる。
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