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番外編 未知 1話
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千葉で零次や母さんと暮らすようになってから一週間ほどがすぎた。
今日は四月一日なので、大学の始業式まではあとちょうど一週間だ。
再会してから、俺と零次はほとんど一緒にいる。一緒のベッドで寝るのは当たり前だし、ご飯も一緒に食べる。俺はそれをすごく心地いいと思っている。
今日は、夜に奈緒と美和と居酒屋で約束をしている。零次を会わせようと考えているのだけれど、二人は待ち合わせ場所には俺しか来ないと思っている。つまり零次がいることはサプライズだ。喧嘩別れして以来会ってないから会うのは少し怖いけど、零次を見た時の二人の反応を想像すると楽しみでしかない。
「ん」
俺が起き上がってベッドから降りると、零次の足が少しだけ動いた。
零次は右足の膝から下がない。
寝る時と風呂に入る時だけ義足を外している。以前車椅子の方が楽なハズなのにそうしているのを疑問に思って聞いたら、俺と同じ目線で歩きたいからと言われた。
本当に恥じらいがないというか……正直というか。まぁ嬉しいからいいのだけれど。
「ふぁ。おはよ、海里」
ベッドのそばで起きるのを待っていたら、零次は俺が起きてから五分もしないうちに目を開けた。
「おはよ零次。足痛くない?」
「ん、へーきへーき。もう痛くもなんともない。切断したばかりの時は死ぬほど痛かったけど」
「そっか。痛くないならよかった」
そう言うと、俺は零次に義足を渡した。
「ん。心配ありがとな」
義足をつけながら、零次は笑った。
「ううん。多分母さんが朝ご飯もう作ってくれていると思うけど、ダイニング行く? それともご飯俺持ってくるか?」
「トイレも行きたいしダイニング行く。でも……もう少し海里と二人でいたい」
俺の顔を見て、零次は笑った。身投げをしてから零次はこんなふうに、俺のそばによりいたがるようになった。俺はそれを凄く嬉しいと思っている。
「ん」
頷いて隣に行くと、零次は俺の胸に顔を埋めた。
「零次?」
「……奈緒ちゃんと美和ちゃん、俺の話全部聞いたらどんな反応すんのかな」
あ。零次が闇金会社の子供なことや俺が虐待されていたこと。それに零次が監禁されていたことをもう既に奈緒達は知っている。
けれど、二人は知らない。零次が車の中でホースをかけられていたぶられていたことを。さすがに、二人にそのことを話す気にはなれなかった。
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