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「坊っちゃん!!?」
「若様っ、その子供は!!?」
「まさかまた…」
「えええええ何やってんすかあぁぁ!!!」
僕と藍(ラン)が家に帰った途端、家中大騒ぎになった。
もちろん原因は…あの奴隷。
「ひっ…ひぅ………ご、ごめ、なさ…」
「ちょっとみんな!! 彩(アヤ)ちゃんが怯えてるでしょ!!? 静かにしてよ!!」
「も、申し訳ございませ…」
「誰ですかその子おぉぉぉおお!!!」
「うるさい蜜田(ミツダ)!!!」
いつの間に名前をつけたのか、彩と呼ばれる奴隷を自分の小さい背中にささっと隠して叫び出した蜜田を怒鳴りつけていた。
使用人達はオタオタと慌てふためき、正直目も当てられない混乱だった。
藍が奴隷を連れ帰るなんて日常茶飯事なのに…一体いつまでこんな過剰な反応をしているつもりか。
みんな本当に子供なんだから。
「藍、その子をお風呂に入れてあげなくて良いの?」
これ以上うるさくならないように、まず奴隷をここから遠ざけようと提案してみる。
学院からの帰り道は、もう暗くなっていて月明かりだけの夜道だった。
藍は奴隷に自分のマントと帽子を被せてさらにぎゅうっと抱きしめて歩いた。
可愛いなあと思いながら見つめていたけれど、藍が寒そうだったので遠慮する藍の肩に僕のマントをかけてあげた。
だから家に着いた時は僕が一番薄着だったわけで、つまり風呂に入りたいのは僕自身なわけだけど。
今ここで「その奴隷と一緒に三人で入ろう」って言えば藍もついてくるだろう。
藍とお風呂、いいじゃん。
「……ほんとだっ!! ご、ごめんね彩ちゃん…お風呂に入ろう?」
優しい藍は目尻を下げて奴隷を気遣っている。
他の使用人達も大勢いる前でこんな態度を取られる奴隷の身にもなれよって話だけれど、藍は奴隷の経験なんてないからここで「彩ちゃん」がおろおろし出した理由はわかってない。
ま、しかたないよね。藍だもん。
「桜田(サクラダ)、僕と藍の着替えを用意して。…あと、奴隷…あー、彩ちゃんの服……大人用のシャツにセーターでいいか」
唖然として突っ立っていた女の使用人に声を掛ける。
あの子小さいし、大人用なら全身隠れるだろう。
それにずっとボロ布を着てたところを見るに、ズボンなんか慣れてないはずだから下手に履かせたらお腹を壊すかもしれないし。
壊さないかもしれないけど。
「それと三人分のスリッパね……おーい、藍!その子連れてきて、浴室に行くよ」
「あっ、うんっ! ほら行こう、おいで」
どこまでも優しく奴隷の手を引く藍が愛しくて、僕に追いつくまでずっと見せてくれていた困ったような笑顔をじっくりと拝ませてもらった。
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