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有名な貴族家はどれもこれも、貧民から集めた税金で贅沢をするだけの腐った糞どもばかりだというのが一般の認識だ。
しかし僕らは違う。
紅(クレナイ)家の総統は代々、表の顔と裏の顔を使い分けて生計を立ててきた。
表の顔とは、すなわち「貴族」としての国家への貢献だ。経済の発展に尽くし、軍の強化に努め、治安の維持をはかる。「国」や「王」など名ばかりで、実際の国務はほぼ三大貴族家が任されているのだ。
そして裏の顔。
藍が毛嫌いする、身売り市場の経営だ。
「さあさあいらっしゃい、奥様旦那様!こちらの奴隷は本日入荷したばかりの初々しい少年ですよ、買ってやってくださいな!あっ、なんなら館内のホテルで一回試しても構いませんよ!」
そびえ立つホテルの正面に取り付けられたステージ、そこにマイクを持って立つ一人の男。
赤色のマントに身を包み、顔には綺麗な顔をした仮面を被っている。
彼は身売り市場のオーナーだ。ここに売られて来る奴隷となる少年少女の売買を取り仕切る。
ステージが取り付けられたホテルの前には、いくつもの檻が列を成して碁盤の目のように並べられている。
僕や藍の身長と同じくらいの高さに等しく揃えられた檻の群れ。
その一つ一つの中に一人一人、未成年と呼ばれる少年少女が入れられているのだ。
訪れた客達は檻の間を歩いて品定めをしている。
ステージへと続く大通りにある檻の中の一つ、僕の近くにあった檻をなんとなくちらりと覗き込んで見ると、そこに入っていたのは不健康そうな少年だった。
どの子もそうだが彼もまた、両腕を頭上に鎖で縛られて足を大きく開かされている。
孔にぶすりと刺さった異物はおそらくバイブレータ。ブルブルと振動するそれに揺られ続けて、少年の体は力を失いくたりと檻に寄りかかっていた。
時折肩がビク、ビクンと揺れる。
僕が檻を見ていることに気がついたらしく、不本意にそれを見てしまった藍は顔を背ける。
そしてオーナーに向かって思いっきり顔をしかめた。
すると、まるでそれに気がついたかのようなタイミングで彼の目がこちらを向く。
おっ、という顔をして面白そうに目を見開くと、マイクを持ったまま大音量で僕らに話しかけた。
「あらま、総統のご子息様じゃないですか。ご機嫌はいかがですか?」
「………最悪だよ!」
藍が怒鳴って答えるも、彼はまったく意に介さない。むしろ楽しげにケタケタと笑った。
「さすがは藍坊っちゃん。気のお強いことで!
それより本日の入荷商品、ご覧にいれましょうか? Yesならばどうぞ私についてきてくださいね!」
長い白髪をばさりと翻してステージから降りると、オーナーはそのままホテルに入って行ってしまった。
僕らの目的は経営状況を確認することであって、将来的に奴隷になるであろう人たちのことなど見たくもない。
だがついて来いと言っているので、二人で目を見合わせてしぶしぶ追いかけることにした。
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