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【番外編】僕と貴方の願い事②
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「水瀬先生、あけましておめでとうございます」
「今年もよろしくお願いします」
出勤してきた看護師さんが、代わる代わる挨拶に来てくれる。
やっぱり、看護師さんが出勤してくるこの時間になると、「朝が来たんだ……」ってようやくホッとすることができる。
「良かった。無事に夜が終わって」
俺は大きな欠伸をしながら、医局へと向かった。
「葵、お疲れ」
「あ、成宮先生」
「ん?どうした?」
今日、出勤している小児科病棟の医師は、俺と成宮先生だけ。
成宮先生の顔を見た瞬間、俺にしては珍しく甘えん坊のスイッチが入ってしまった。
「千歳さん……」
甘えた声を出しながら、ソファーに座っている成宮先生に跨った。
そんな普段とは違う俺に、少し戸惑いながらも成宮先生はそっと腰を抱き寄せてくれる。
「どうした?今日は甘えたか?」
「んー、千歳さん」
成宮先生が耳元で話すだけで、くすぐったくてゾクゾクする。
「俺……千歳さんとカウントダウンして、0時ピッタリにキスしたかった」
「ふふっ。なんだよ、それ」
成宮先生がクスクスと笑っている。
「ガキっぽいかもしれないけど、新年を一人で迎えることが寂しかった……」
「葵……」
「一緒に、新年を迎えたかった」
俺は、必死に成宮先生にしがみついて、成宮先生の肩に額をグリグリと押し付けた。
自分でもガキだな……って呆れちゃうけど、でも俺は……成宮先生と新年を迎えたかった。
だって、それができたら2023年は、きっと素晴らしい年になるような気がしたから。
「0時ピッタリにキスしたかったの?」
「うん」
「そっか……」
俺は、鼻を鳴らしながら泣きべそをかく。
この意地悪な恋人は、俺がお前ん坊になった時には、めちゃくちゃ優しくなる。
だからこそ、俺の中の甘えん坊が時々ひょこり顔を出してしまうんだ。
チュッ。
その瞬間、唇に柔らかい物が触れる。
あぁ、成宮先生のキスだ……俺は、うっとりと目を細めた。
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