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素直になれないクリスマス⑥
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自宅に着いた頃には、もうすぐクリスマスイブが終わろうとしている頃だった。
「先生……怒ってるよな……」
そう思うと、早く家に帰らなきゃいけないって思いもあるのに、怖いって思いの方が強くなってしまう。
俺は意を決して、エレベーターのボタンを押した。
合鍵でドアを開けて、そっと室内を覗けば、リビングのテーブルの上には小さなクリスマスツリーが飾られていた。
そして、美味しそうなケーキに、食べきれない程の料理が並んでいる。
それを見ただけでわかってしまった。
「先生は、クリスマスイブと、誕生日を楽しみにしてたんだ……」
そう思うと、目頭が熱くなるのを感じる。
ふとソファーに目をやれば、成宮先生が眠っていた。きっと、俺を待ちわびて、いつの間にか眠ってしまったのだろう。
「ごめんなさい、千歳さん」
俺は、ソファーの横に座って、先生を抱き締めた。
その瞬間、成宮先生の温もりがダイレクトに伝わってくる。
「遅くなってごめんなさい」
そっと、唇にキスをしてから囁いた。
「千歳さん、メリークリスマス。それから、お誕生日おめでとう」
次の瞬間、強引に体を抱き寄せられ、その反動で成宮先生と深く唇が重なる。
「んッ……むぅ……」
そのままチュルンと温かい舌が差し込まれて、俺達は熱い口付けを交わした。成宮先生とのキスは気持ちよくて離れがたかったけど、そっと体を離してその顔を覗き込んだ。
「狸寝入りですか?」
「いや、本当に寝てた。誰かさんが全然帰ってこないからさ」
大きな欠伸をしながら、サラリと嫌味を言ってくれた。
「だって、千歳さんはクリスマスとか、誕生日とか、全然興味ないのかと思ってたので」
「ん?そんなん、全然興味ねぇよ?」
「え?じゃあなんで?」
成宮先生の意外な言葉に俺は目を見開いた。
興味がないなら、わざわざお祝いしなくてもいいではないか……そう思ってしまったのだ。
「今までは興味なんかなかった。でも、葵と一緒なら、なんかすげぇ特別で、大切な日に感じたんだよ」
「千歳さん……」
「お前がいるから、どんな日だって特別に感じるんだよ。バァカ!」
なら一言言ってくれればいいのに……そうも思うけど、このどこまでも意地っ張りで素直になれないところが、成宮千歳なのだ。
そして、俺はそんな不器用なところが、狂おしい程、愛おしい。
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