アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
素直になれないクリスマス⑦
-
「先生、ちょっとなんですけど、俺からのプレゼントです」
「ん?プレゼントなんかあんの?」
俺がリュックからプレゼントを取り出すと、成宮先生が目を見開いた後、声を出して笑い出す。
あの時、俺の目に飛び込んできたのはゲームセンターだった。俺は昔からクレーンゲームが得意だったから、それで何かを取ろうと思いついたのだ。
ちなみに、今成宮先生の目の前にあるのは、狐と狸の巨大なぬいぐるみ。このぬいぐるみを見た瞬間、俺は運命を感じたのだった。
「あははは!このぬいぐるみ、俺と葵みたいじゃん」
そう、狐が成宮先生で、狸が俺。
ツンとかしこまった凛々しい狐は成宮先生に似ているし、真ん丸な目に幼い顔立ちの狸は、俺にそっくりだった。
「へぇ……こんなに可愛いプレゼント貰ったのは初めてだよ」
「良かった。こんなので喜んでもらえて」
「ありがとう。でも、まだ足りないわ」
いきなり色気を帯びた成宮先生の声が、耳元で響く。それだけで、俺の全身を甘い電流が駆け抜けて行った。
「飯食ったら、抱かせて?」
「え?」
「今日は、抱き潰してぇ気分だからさ」
ニヤリと笑う成宮先生を前に、俺は何も言い返すことができない。まさに、蛇に睨まれた蛙だ。
なのに、体は勝手に火照り出し、成宮先生を受け止める場所が、ジンジンと甘く疼き出した。
「今日は、激しくても何でもいいです」
「え?今日はやけに素直じゃん」
「はい。だって、今日は特別な日ですから」
「可愛いな、葵」
そのまま、俺達は熱いキスをして、先生が用意してくれた料理を食べてから、もつれるようにベッドへと倒れ込んだ。
どんだけ乱暴に抱かれるのかと、少しだけ冷や冷やしていたけど、その日は蕩けてしまうくらい、優しく優しく抱いてくれた。
俺達は、クリスマスケーキの上に乗っている生クリームのように、甘いクリスマスを過ごしたのだった。
それ以来、リビングの片隅に、仲良く寄り添った狐と狸のぬいぐるみが、俺達をそっと見守ってくれている。
「来年は、忘れないからね」
俺は、その2匹を見る度に優しく話しかけた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 67