アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
クリスマスSS Mの愛2
-
我妻は何とか、日付が変わる前に同居しているマンションの扉前まで帰って来れた。…が。
(クソ…ッ!!雪の都合で電車遅れているって聞いて、慌てて飛び乗っちまった…!!乗る前にコンビニのケーキ買えたからまだよかったけど、本当にプレゼント何も持って帰れてねぇ…ッ!!)
かくなる上は、と我妻はぐっと奥歯を噛みしめ、我が家の玄関扉のドアノブを握り込む。
(し、仕方ない。…これは本当に屈辱的だけど、今日までにプレゼントが用意出来なかった俺の不手際だ。腹を括って…仕掛けるか。)
がちゃり、と扉を開けると、エプロン姿の落合が廊下を行き来しているところだった。
「あ、おかえり、京司さん。」
「…ん。」
気恥ずかしさから、買ってきたケーキが入った袋を前面に押し出してしまう。落合は相変わらず嫌そうな顔一つ浮かべず、袋を受け取り、中を覗き込んだ。…子供みたいに無邪気な歓声をあげる。
「わぁ~っ!!ケーキだ!!美味しそう。」
「はしゃぎ過ぎだ、バカ。」
落合の前だと、我妻は未だに素直になれない。年上の意地もあるし、何より…本音で語れない我妻を相手が理解し、そういった面も丸ごと愛してくれているからだ。
「…すみません、嬉しくて。」
「いや、その…気にすんな。」
えへへ、と微笑む恋人に対して、ぶっきらぼうな物言いになってしまう。
「えっと…仁は、いつ帰ってきたんだ??」
「京司さんとそう変わんないかな。三十分前くらい。待っていてね、すぐ晩御飯とお風呂、用意するから。」
「そんな急ぐ必要ないぞ、俺も着替えたりするし…。」
上着を脱ごうとしていた我妻の片頬に、恋人の温かな手がピトッと添えられる。
「…外、寒かったでしょう、京司さん。温めるね。」
会社と違い、名前で呼ばれて、思う存分甘やかされる。心がチョコレートのように甘く蕩けていくのを感じつつ、我妻は緩く首を横に振る。
「う…、嬉しい。けど、お前、メシの用意とか色々あんじゃん。そっちやれよ。」
「けど…。」
言い募ろうとする落合を愛らしく感じつつ、恋人は口を開く。
「お互い、まずは身体を暖めようぜ。その後はほら…、さぁ…??」
両頬を桜色に染めつつ、深く俯く恋人を見て、落合も何か勘づいたらしい。少しはにかみながら、うん、そうだねと力強く頷いてみせた。
_
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 11