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3 高橋side
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高橋side
「ただいまー…」
部活が終わってさっさと帰ってきた
今日はひどく疲れた
シャワー浴びてすぐ寝ようと玄関の電気をつければ、居間のソファで寝てる坂崎の姿があった
「こんなところで寝てたら風邪引くよ」
呼びかけても反応がない
どうやら完全に寝てるようで揺さぶっても起きなかった
「仕方ないか」
坂崎の部屋に勝手に入るのは嫌だろうからと俺の部屋からブランケットを持ってきて起こさないようにそっとかけた
普段は自分の部屋にいて必要以上に出てこないから、まさかソファで寝てるなんて思わなくて少し嬉しくも思った
「…ぅ…」
「あ、ごめん。起こした?」
億劫そうに目を開けた様子に眠いのかどこか具合が悪いのかわからなかった
「ここで寝てたら風邪引くから、部屋戻って寝た方がいいんじゃない?」
俺達はあまり話したことがない。こうして話すのも何ヶ月ぶりぐらいだろう
そうぼんやりと考えていると坂崎ははっとして逃げるように俺から距離を取ろうと動き出した
――ガタン!
「え、坂崎…?」
「……はぁ、はぁっ、ひゅ…ひゅう、は…」
急に倒れた坂崎に驚きながらも大丈夫かと手を伸ばす。でもその手を見てさらに震えて顔色が悪くなってくる
「っ、や…ひゅっ…く…ぅ」
過呼吸で言葉にならないのにそれでも必死に俺から距離を置く姿に、俺まで息苦しくなってくる
「…俺は、何もしないよ」
「っ、ひゅー…っはぁ…ひゅ…っ、は…」
「大丈夫。すぐ治るから」
俺はソファから転がり落ちた坂崎の前に座って様子を見ながら電話で石川先生に連絡する。すぐ行く、とだけ言って電話は切れた
これは俺が坂崎と同室になったとき教えてもらったことだった
昔にいろいろあったらしくて、周りが信じられない…らしい
具合悪そうだったら連絡してくれと先生の電話番号を渡された
でも、共同ルームには来ないし部屋をノックしても無反応な毎日だから当然使うことなんて滅多になくて今日で…三回目ぐらい、な気がする
だから本当に今日が珍しかったんだ
「はぁ、ひゅ、…げほげほ、…ひゅー、…ひゅー…っ」
胸を押さえて息をする坂崎はひどく痛々しくてなんとなく背中を撫でてみた
今度は嫌がる様子もなかったからそのまま先生が来るまで、距離を取りながらも撫で続ける
部活でも過呼吸起こしてる人はいるけど、ここまでひどいのは初めて見た
「…は、ぁっ、ひゅー…は、はっ…」
先生、早く…来て欲しい
俺、本当にどうすればいいのかわかんない
「高橋!」
凛とした声に振り向けば先生が真剣な顔をしながら部屋に入ってきた
「…先生」
早く、坂崎を助けてと声を絞り出して言うと先生は俺の頭を撫でると坂崎の方へと向かう
いまだに苦しそうで俺は先生の邪魔にならないように遠くに行きながらも二人をじっと見つめる
「坂崎、ゆっくり息を吐くんだ。先生と一緒にやるか」
俺と同じように背中を撫でたり軽く叩いたりしていた
「これに合わせて息を吐く」
ひどくゆっくり呼吸を促す先生に俺も同じく息をする
「っ、げほげほ、げほ、はぁ…」
少し、落ち着いてきたようでさっきよりも呼吸が戻ってきていた
「もう少しな。まだ苦しいだろ」
先生が優しく声をかければ、頷いて同じようにしている
結局俺は何も出来なくて、先生と坂崎を見てることしかできなかった
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