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「…ん…っ、ぅ、こほ」
「っ、坂崎! 良かった…」
「起きたか。具合はどうだ」
…僕はどうしていたんだろう
ゆっくり起き上がればベッドで寝てたみたい。だけどその前の記憶が…曖昧だ
「…少し、体熱くて…痛い。でもこれぐらい、大丈夫」
「怪我の熱で朦朧としてるんだ。あまり無理をするな。坂崎が部屋で倒れてるのを高橋が見つけて連絡してくれたんだ」
お礼言っておけよと僕の頭を撫でる先生に、どうしてと言葉が零れた
…確か、高橋と言い合いになって部屋に戻ったことは覚えてる
その後は…気持ち悪くて…
「…覚えてない」
「坂崎、吐いて倒れてたんだよ。びっくり、した」
高橋がぎこちなく言う。吐いて力尽きたみたいな感じかな
そんな僕の腕には先生が付けた点滴が刺さっていた
「それが終わるまでは大人しくしてろよ。高橋に面倒見てもらえ」
「……何するか、わからない」
「あ、俺は…まだ、そんなこと出来るほど…坂崎と仲良くなって、ません」
二人で何となく反対すれば先生は大きくため息を吐いた。僕は怒らせたかなと下を向く
だって…本当に、何されるか…わからない
「高橋、祐には言ったのか」
「…はい」
そうか、と僕の額に触って熱を確かめるとまだ熱いなと小さく独り言を言う
「なら、今から面倒見るか。俺も一緒にいるからいいだろ」
「…え」
先生が何を言ってるのか一瞬理解出来なかった
「……先生、本気ですか。俺はともかく、坂崎は嫌がると思いますけど」
「そう言って尻込みしてたらいつまで経っても祐に信じてもらえないぞ。今後、俺と祐と関わりたいんだったら俺の手伝いをしてくれ。看病だ」
「…わかりました」
先生は今日僕の部屋に泊まるみたい、荷物が多いのに気付いた
高橋は主に先生の手伝いで僕の熱さまシートを持って来たり、ご飯の準備とかをしていて
部屋には先生がいたから確かに何も悪いことは起こらなかった
「今日はここで三人で寝るか」
「……」
高橋は僕に話しかけることはしなかったけど困ったような顔をしていた
僕と目が合うとはっとしてさっと目を反らされる
…まるで僕が悪いことをしてる気分だ。違うのに
「…先生、さすがにそれは」
「お前達には荒療治が必要だ。いいから、高橋も来い」
ちらっと僕の方を見る。僕は何も言わないまま布団を被って高橋に背を向けた
それで何となく察したのか先生の隣の敷き布団に潜る音がした
…また、高橋に助けられたんだと今になって実感する
ちゃんと部屋に戻ったのになんでわざわざ入ってそこまでしてくれたんだろうか
正直、今でも高橋が何をしたいのかわからないままだった
「……わけ、わかん、ない」
助けるって、そう簡単に出来ないことだとわかってるはずなのにどうしてそんな必死になっているんだろう
どうすれば高橋が構わなくなるのか、今考えても何も…わからない
「……っ」
なんだか、無性に叫びたくなる
先生だけで良くてそれ以上は望まないのに高橋は見返りを求めないまま出来るはずがないことをしようとしている
突き放しても話をしても、変わらなかった
じゃあ、どうすれば離れてくれるんだろう
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