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11 高橋side
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高橋side
坂崎の熱がようやく下がって先生もいるからと今日は授業に出ることにした
「おお! 高橋! 風邪大丈夫か?」
仲の良い西田の心配そうな声に、心の中でごめんと謝りながら大丈夫と答えた
坂崎の看病のことは言わずに俺が風邪を引いた設定にしていた
いきなり坂崎の看病とか言ったら仲が良い西田でも何してくるか正直わからないし…押しかけてきそうだったからいまだに言ってない
俺自身も裏切るということになるから、なるべく知られないようにしようと決めた
…どうすれば上手くいくかな
俺が坂崎の方に行くということがばれるのも時間の問題だ
その時のクラスの反応と行動が読めないから、一緒になっていじめられるぐらいしかわからなかった
「高橋?」
「っ、ごめん。大丈夫。まだ病み上がりだからぼーっとしてた」
大丈夫かよと小突かれて俺も笑うけど本当の笑顔にはなれなかった
今更言ってもいじめなんてなくならない
今なら担任の先生に言えば、とも思ったけどきっと知らん顔される。それが悲しかった
+++
坂崎が休みだと相馬たちは大人しい
普通に授業も受けるし、他のクラスメイトを代わりにいじめたりってこともしていなかった
坂崎がいると一気に桁が外れたかのように暴力を振るったり暴言を大声で言ったりして発散している感じ
だから普段の、というよりも坂崎がいない教室はとても静かで平和だった
「高橋大丈夫? 何かまだ顔色悪くない?」
「それ、他の人にも言われた。もう治ったから大丈夫」
俺が席に座ると友達が集まってきて心配してくれる
そんな変わりない雰囲気を坂崎は感じたことがないんだと俺は気付いてしまった
「無理すんなよ。部活は?」
「あーごめん、今日は休む」
だろうね、と俺の顔色を見て苦笑いされた。本当に具合が悪いわけじゃないのに顔色が悪いってどういうことなんだろう
坂崎のことを考えながら教室を見て改めてひどいと思ったからなのか
「…ごめん」
「いいって。キツかったら早退しとけよ」
「うん。ありがとう」
坂崎にもそう言ってあげてよ
みんなの優しさが痛い
「今日も坂崎来ないんだなー。つまんね」
「っ」
大声で教室に相馬が入ってきて思わずびくりと肩が跳ねてしまった
「あいつだから構ってやってんのによ。来ねーとか意味わかんな」
お前がそうさせてるんだろ
口には出さずに俺は相馬を睨んだ
「仕方ないか、今日も大人しく授業受けるとしよう。眠いから寝てるかもしんねぇけど」
まるでいじめてるなど微塵も感じていないかのような態度と物言いに飛びかかりそうになるのを必死に押さえる
そうでもしないとそのまま殴ってしまいそうだった
俺じゃ勝てるわけがないことはわかってる
だけど一発殴ってやりたいぐらいには俺も怒っていた
「はーい席に着けよー」
担任の先生の声ではっとして目を反らす
…俺がすることは相馬達を殴ることじゃない
その前に坂崎を助けないといけないんだ、忘れるな
「高橋? 大丈夫か? やっぱお前まだ本調子じゃないんだろ? 保健室行って早退した方がいいんじゃね?」
「………これが終わったら、ちょっと行ってくる」
「うん。そうした方がいい。お前汗かいてるし」
席が前の西田に言われてじっとりと汗をかいてることに気付いた
どうりで何か暑くて気持ち悪いのか
落ち着こうと深呼吸をしながらホームルームを聞いて、終わった瞬間に教室を出た
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