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「え…? 桜井、さん?」
「ああ。祐は覚えてないか?」
放課後の時間、共同ルームで掃除をしていたら高橋が帰って来て、後ろから先生の姿が見えた
先生は僕の様子を聞きながら、大事な話があるらしく掃除を一旦止めてテーブルの所に座った
「…おぼ、えて…ない、ごめんなさい」
「…そうか。いいんだ、出会ったのが小さかったから覚えてないだろうとは既に話してある」
どんな人…なんだろう。覚えてないのが何だか申し訳なく感じる
「え、と先生の友達…なんだよね」
「ああ。今はカウンセラーやってるんだ。祐とそれから高橋にも会いたいってこれから来るんだ」
「これから、…今日?」
「そうだ」
え、と固まる僕に高橋は静かに立ち上がって僕のしていた掃除を再開しようと置いておいた掃除機を手に取った
「終わってないところ、どこ」
「……じぶんでやる」
「いいよ。坂崎は違う所の掃除してくれたら嬉しい。俺いっつも坂崎にやってもらってばかりだったし。たまにはさせてよ」
「…っ」
高橋と話すとまだ言葉が詰まる
いつ悪口が飛んでくるのか、わからないから…怖くて動けなくなる
「いつも綺麗だし、片付けてもよさそうだけどな」
先生の言葉に、僕は周りを見渡す
洗い物も洗濯も午前中に終わってるし、高橋も洗濯は終わってるみたいだからあと少しだけと自分の自己満足でやっていたところだった
「なら俺片付けてきます」
そう言って高橋は洗面所に掃除機を片付けに行った
僕はこれから来るっていうその桜井さんって人のことをずっと考えて、なるべく怖がらないよう心の準備をしていた
先生の友達、なら…きっといい人のはず。高橋よりもきっと優しいと…思う
「ついでに飲み物取ってきます」
「悪いな。だが、お前もあまり働きすぎるなよ」
「はい。坂崎もお茶でいい?」
「……ん」
下を向いて、先生と一緒にお願いごとをするなんて…後で何されるか、怖くてしょうがない
「大丈夫だ。言っただろ、距離感を計ってるだけだ。頼みごとをされるのが嫌なら高橋がそう言ってる」
「…うん」
先生と高橋は何を話してるんだろう
気にしても、仕方がないけど…きっと先生も高橋といた方が何となく楽しいんじゃないかなって思うほどだ
「俺の方は、段々と高橋が何を考えて何を思っているのかわかってきたぞ」
「…え、先生は…元々、知ってるんじゃないの?」
だって、先生だから生徒のことは知ってるはずなのに…
「俺は基本保健室にいるんだぞ。職員室で急に生徒名簿を見せてくださいなんて言えない、俺の管理してる高橋の情報なんて身体測定と少しの個人情報だけだ。性格やどういう奴かなんてほとんど知らない」
「…それ、なのに良いって言ったの?」
「担任には何となく聞いた上での判断だったがな」
「はい。えっと…今からくる桜井さんって人の分は来たら入れるからとりあえず今の人数分持ってきた」
「ありがとうな」
「…あ、りがとう」
「どう致しまして」
三人でこうして何もしないでじっとしてるのは初めてかもしれない
いつも先生とは何回かあったけど、そこに高橋が加わっただけで落ち着かない
そしてこれからその桜井さんって人が来るから、余計に緊張してるんだ
大丈夫、大丈夫とお茶を飲みながら落ち着こうと深呼吸をする
その人が来るまではあまり会話もなく、むしろ眠気が来たところでピンポーンと音が響いた
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