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48 高橋side
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高橋side
「……」
部活が終わる時間まで俺はずっと保健室で眠っていた
坂崎は見た目の怪我はひどくないけど、念のためにと病院に先生が連れて行ったらしい
「まだ寒いか?」
西田が暖かい飲み物を持ってきてくれた
保健室の飲み物を好き勝手に使ってるみたいだけど先生に怒られないのかな
「…だいぶまし。まだ少し寒いけど」
「風邪引くかもな。顔色、ずっと悪いまんまだし」
「かもね。カイロも毛布も借りてるのに、あまり暖かくならなくて」
マグカップに口をつけるとコーヒーだった
「西田。これいいの…? コーヒー先生のだよね」
「先生に好きに使っていいって言われてるからいいだろーこれぐらい。それより暖めるのが先。それと、ごめんな。すぐ助けに行けなくて」
「え、なんで謝るの…?」
助けに来てくれたこと、お礼を言おうと思ってたのに
「遅くなったからお前はこんな寒い思いしてるんだろ。坂崎のことだって病院行きにはならなかったかもしれない。ずっと、探し回ってたんだ。先生には真っ先に伝えたけど」
「そうだったんだ…でも嬉しかったよ。ありがとう」
こんなに俺にずっとついてくれて、暖めようとしてくれてる
俺は正直坂崎を助けられてはいない
邪魔されて、庇うことも出来なかった
一緒に閉じ込められちゃうし、携帯持ってなかったから誰にも連絡出来なかった
…あれだけ決意してたのに、実際は何の役にも立ってない
「お前はまたそーやって…あー! もう先生達早くこの子何とかして~! 俺も悲しくなるわ…」
「え、いきなりどうしたの。怖いんだけど」
顔を覆って叫び出す西田に、俺は軽く引いていた
「心配してる身にもなれっての…」
「いや、なんともなかったし」
「閉じ込められて、助けた時には体は冷たいし気を失うしで俺もパニックになってたの知ってる? しかも俺は大丈夫だから坂崎の方行けって、いやいやお前も十分重傷だからね!? って頭ぶん殴ってやろうかと思ったよ」
ぽきりぽきりと指を鳴らしながら笑ってるのも十分怖いから…
「今もその気持ちは収まりませんので殴っていいですか高橋さん」
「理不尽にもほどがある」
「理不尽じゃねーだろ! だから…あー!!!」
そして再び顔を覆って叫び出す。もうわからなさすぎて笑えてきた
「心配してくれたのは嬉しいよ。西田が来なかったら俺達あそこで一晩になってたかもしれない。それを考える前に助けてくれてありがとう」
「……おう。無事で良かったよ」
お互いにマグカップに口を付ける
苦いコーヒーに無意識にしかめっ面になってたみたいで西田に笑われてしまった
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