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57 高橋side
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高橋side
電機屋は、テレビとDVDレコーダーとかパソコンも最初買おうかって言われてたけど、今は必要ないと断った
「そろそろ時間だな。病院行くぞ」
ぐるりとまた車が曲がって病院に行くことになった
もしかしたら先生が働くところなのかもしれないと興味が沸いて身を乗り出す
…一応、祐のことを考えてるのかな
また同じ事は起こって欲しくないけど…何とかするために先生はきっといろんなことを考えてるんだろう
祐は買い物で疲れたのか物で溢れた隙間にいながらもすやすやと眠っていた
「すごい大きい病院ですね」
「だね。ここ通うの?」
「…場合によってはな」
駐車場が病院の前にかなり広くあって車もすごく多くあった
家の近くにこんな大きな病院があるなら大丈夫な気がした
「高橋、来い。お前の咳診てもらうから」
「え、え?」
「いってらっしゃい。祐君は任せて」
先生の言葉に追いつけないながらも病院に入れば、あまりの広さと人の多さに思わず先生にしがみつく
祐の時のお見舞いも同じくらいの大きい病院だったのに、ただの咳でこんなに大きい病院は…なんか、すごく場違いな気がした
「っ、先生…俺大丈夫ですって」
迷惑かけてるし、だめだと引っ張ってみても先生は受付を済ませてどこかへと向かっていく
予約がなんとか聞こえたから…いつの間に予約してたのかと見上げる
「無理すんな、俺らも気になってたんだよ。だから一度診てもらおうと思ったんだ。ただの風邪ならそれまでだし」
「…また俺、先生たちに迷惑かけてたんですね」
隠そうと思って部屋にまで逃げてたのに、これじゃ意味がない
「迷惑じゃない。心配だから念のためだ」
頭を撫でられて、先生が座った所に大人しく呼ばれるまで待合室で待っていた
何も話してないけど、呼ばれるのが早くてすぐ診察室に入るとおじいさん先生がにこりと笑う
「…咳ね。今は大丈夫かい?」
「はい」
「掃除のとき以外に咳が止まらないときはあるかな?」
「冷たい風で、少し…」
気のせいだと思うけど一応言っておく。ここで隠したら先生には悪いし…
「そうか。少し検査してみようかね」
一回診察室を出て看護師さんの案内でいろんな検査をした
正直何の検査かわからなかったけど、少し噎せたりして戻ってきた
検査結果を見てカルテに何か書いていく先生が言ったのは咳喘息、らしい
「え、喘息?」
「薬で正確な判断がしたいところでもある。でもそうだな…確定かな。吸入器使ってみて効いてなさそうだなと思ったら教えて欲しい」
「吸入器…?」
「そう。一週間後にもう一回様子みたいんだけど…どうしようか」
カレンダーを見て先生も交えながら話は終わった
俺は呆然としていてただ先生の後を着いて行くしかできなかった
「あの医者すごいな。俺には咳喘息だってわからなかった」
どういうことか聞いたら、咳喘息って判断が難しいらしい
ただの咳、だけどずっと続くのは違くてしかも喘息の人と同じ吸入器を使わないといけない
…大したことないのに。なんだか病弱のように思えた
「でもよかった。これで安心した」
「すいません、心配かけて…」
そう言えば頭を撫でられる。後でちゃんと調べてみよう、治る可能性だってあるだろうし
「辛いのを放っておけるはずがないだろ。謝ることじゃない」
「…ありがとう、ございます」
会計と薬局を済ませて車に戻れば明良さんはおかえりと笑って出迎えてくれた。祐はまだ寝てる
もう、心配も迷惑もかけないようにしないと。もらった吸入器を見つめて決意した
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