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Lesson.2
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怒られるのを承知で電話をかけるも、三好が出る気配はない。
呼び出し音が耳で響く度に、焦りで鳩尾のあたりが冷たくなっていくのを感じる。
久住がじっと待っていることに気付き、多希は一度通話を終了した。
「すみません。事務所に鍵を忘れてしまったみたいで。久住さんは先に帰ってください」
「先にって……由衣濱先生はどうされるんですか?」
「友人の家を当たってみます。だから気にしないでください」
多希はトークアプリを開き、学生時代の旧友を探す。
メッセージを送る前に、再び久住が話しかけてきた。
「俺も由衣濱先生と同じ一人暮らしなんです」
「は、はい……?」
「今日は俺のところに泊まりませんか? 替え用の布団もありますし」
「いや、そんな。ご迷惑でしょう」
「美味しいご飯に誘っていただいたお礼です」
確かに誘ったのは多希だったが、支払いはどちらがしたっけ……? 割り勘だった?
記憶が混濁するほど飲んだくれていたみたいで、改めて久住に対して申し訳なさでいっぱいになる。
久住が腕にはめた時計を確認し、多希のカバンを引っ張った。
「終電、そろそろなので急いだほうがいいです」
「えっ……あ、はい……」
まだアルコールの回っている頭で多希は誘導されるまま、ふらふらと久住に着いていく。
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