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Lesson.3
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スマホにメッセージが来ていないか確認していると、「由衣濱先生」と声をかけられた。
ビジネスバッグと紙袋を提げた久住が、多希の前に立っている。
「お待たせしてしまいましたか? すみません」
「いえ。俺もちょうど来たところです」
「和食ですけど大丈夫ですか?」
多希は頷く。久住は安心したように笑うと、多希の少し前を歩き、店の場所まで案内してくれる。
多希のほうは仕事中はほとんどエプロンを身に着けているため、カジュアルスーツだ。
特に色などの指定はなく、自身の髪が茶色なので黒のスーツは驚くほど似合わない。
多希が愛用しているのはチャコールグレーのものだ。
対して久住は医療関係の営業職なので、特に飾り気のない無難な黒だ。
無難とはいっても、黒は着こなすのが難しい上級者向けだと多希は思っている。
連れて行かれたのは、暖簾のかかっているこじんまりとした定食屋だった。
外装は古民家のように洒落ていて、落ち着きのある店だ。
割烹着を着た女性にテーブルへと案内され、多希はランチのメニュー表を手に取った。
「ここ、日替わりの魚定食が美味しいんです。俺はそれにしますけど、先生は?」
「うん。俺も久住さんと同じもので」
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