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Lesson.3
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そして、多希はようやく久住が助け舟を出してくれたことに気が付いた。
女性達は特に嫌な顔をすることもなく、片付けの手を早める。
彼女達と久住を教室の外まで送り出すと、多希は談話スペースの自販機で炭酸飲料を買った。
話し過ぎてカラカラになった喉を、炭酸の泡が洗い流してくれる。
真面目だけれどたまに突拍子もない行動をすることがある久住。
多希の持っていた串焼きにいきなりかぶりつくし、出勤したら待ち伏せをしていていきなり告白されるし、さっきだってアドリブとは無縁そうなのに、自然に多希のことを助けてくれた。
──なんか……何か。
行動のどれもこれもが、多希の決意を揺らがせる。
考えれば考えるほど、久住を好きにならない理由がない。
そんな久住は、今でもきっと自分のことが好きなのだ。
──やっぱり付き合いましょう……なんて変? 都合が良すぎる?
「由衣濱先生」
「ひゃ……! く、久住さん。脅かさないでください……」
「……脅かす? 正面から声をかけたのですが」
久住は腑に落ちない態度で、多希の側へ寄る。
実物の久住が近づいてきて、多希は半歩下がって距離を取った。
「そんなにびっくりしたんですか。怖がらせてすみません」
「別に……怖がってなんか。久住さんって冗談も言えるんですね。意外です」
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