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Lesson.3
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「昔、付き合ってた人の名字と一緒だったから。ちょっと……思い出してしまったんです。いろいろと」
付き合い始めたのは、多希が二十歳を過ぎた頃だったからもう十年以上も前のことだ。
多希がアルバイトをしていたのは、所謂ゲイバーと呼ばれる店だった。
多希の地元では身近に性事情を相談できる相手がいなかったため、上京してから客として通い始めたのがきっかけだった。
調理師の専門学校に通っていることを話したら、そこのママに手伝いを頼まれたのだ。
まだ二十歳になったばかりの多希は、言わずもがなゲイバーの常連の中では最年少だった。
「若いねー」と言われるのは嫌ではなかった。
菅原という男と出会ったのは、多希が働き始めて数週間経ったときだった。
ママが数十分ほど、用事で外に出ていたときだ。
「本当は多希ちゃん一人にしたくないんだけどごめんね」と謝られたが、多希は大丈夫ですと答えた。
常連客もいたし、少しくらい粗相をしても笑ってくれるだろうという甘えもあったからだ。
ママが出て行くと、常連客の一人が多希にしつこく絡み始めたのだ。
他の客もそこそこに酔っていて、嫌がっているのを分かっているはずなのに、わざと囃し立てられた。
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