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Lesson.3
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ママなら上手くあしらって窘められただろうが、多希にはそういうスキルはない。
「すみません」と泣きそうになりながら縮こまる多希を助けたのが、菅原だった。
菅原は多希が初めて告白して、初めて付き合った男だった。
菅原はそのとき三十歳で多希とは十も離れていたけれど、堅苦しさはなかった。
都会に来たばかりの多希の初な反応を見るのが楽しいと、菅原はいつも口にしていた。
生涯で好きになるのも、添い遂げるのもきっとこの人だ。
多希だけは、そう信じていた。
「今はもう別れました」
「……え」
「家族がいたんです。奥さんと、小さな子供が」
彼は仕事の関係でアパートに住んでいると言っていた。
合鍵を渡されていた多希は、菅原の忘れ物を届けようとアパートまで行ったときだった。
アパートの廊下には女性と小さな子供がいて、菅原と玄関口で談笑している。
すぐに二人を部屋に招き入れると、鍵を回した音がした。
「最低ですね」
「彼には開き直られました。問い詰めたら、聞かれなかったから答えなかっただけって。そのうえで、俺とも付き合いたいって」
裏切られたことにも傷付いたが、何よりも彼がヘテロであることが一番のショックだった。
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