アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Lesson.4
-
今日は無気力なので、自炊をする気も起きない。
駅前の惣菜屋で弁当でも買って帰ろうかと考えながら、日に日に冷え込む夜道を多希は歩いた。
「久住……さん」
「先生」
多希と同じく、仕事帰りらしい久住と鉢合わせた。
軽く会釈をして通り過ぎようとする。
「半日ほど連絡がなかったので、会いに来ました」
「……すみません。忙しくて。見ていませんでした」
今朝、メッセージが来ていたのは知っている。
通知で表示された一行目の「おはようございます」だけを読んで、多希は既読をつけなかった。だから内容は知らない。
「それならいいんです。これから少しだけ」
「今日は忙しいので。失礼します」
久住の台詞を遮り、多希は足を速めた。
後ろから聞こえる足音も、同様に速くなる。
「俺、先生に何か気に障るようなことでもしましたか? やっぱり、キスしたこと……」
「久住さん」
多希は振り返ると、自分の目線より上にある久住の顔を、わざと睨みつけた。
「他の生徒さん達の目もあるので、久住さんだけを特別扱いするわけにはいかないんです。仕事では普通に接します。だからもう……」
「迷惑はかけていません。もちろん、講義は真面目に受けます。俺は、ずっと好きです」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
85 / 146