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Lesson.5
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「怪我しないでくださいね」
竹串が手を貫通してしまうのではないか、と心配してしまうくらい、久住は不器用で怪力だ。
卵液とパン粉をつけ終えた多希が助けに入り、具材の下準備は完成した。
いろいろな種類の具材を買ってしまったので、多分、外で食べるより高くついたが、今日は同棲一日目だ。
少しくらい奮発したってバチは当たらないだろう。
多希が串を熱した油に投入していくのをよそに、久住は冷蔵庫から缶ビールを二本取ってきたようだ。
「いいんですか。ビールなんて」
「いいんです。一缶くらいならべろべろに酔ったりしないでしょう」
「あ、じゃなくて。健康診断のことで」
主治医に「何でそれで生きてるの」なんて言われるくらいには酷いようだったと、多希は記憶している。
ややあって、久住はああ、と思い出し呟いた。
透明のグラスに注いだ、黄金色の液体とふかふかの綿のような泡を、久住は喉を鳴らして豪快に飲んだ。
「もう大丈夫ですよ。数値は全部基準値内に下がりましたから。多希さんのおかげですね」
「まあ、俺というよりは……崇嗣さんの頑張りの結果かと」
久住はコンビニや外食中心の食事からほぼ自炊の生活へ切り替えた。
きっかけをつくったのは多希かもしれないが、継続できたのは久住の努力の賜物だと思う。
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