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新しい恋、ごちそうさま
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──由衣濱先生……いらっしゃるかな。
金曜日の六時半過ぎ。今日はデスクワークが中心だったので定時上がりだ。
久住はクリーニング店から受け取ったばかりのエプロンと、贈答用の菓子折りを携えて、料理教室「Allegro」を訪れていた。
体験教室でエプロンを持参するのを忘れてしまい、由衣濱先生の私物を貸してもらっていたのだ。
講義の予定が入っているのは明日なのだが、一日でも早く返さねばと思い、久住は仕事帰りに多希の職場へ立ち寄ったのだった。
「すみません。由衣濱先生は」
「どのようなご用件でしょうか」
「由衣濱先生にエプロンを貸していただいていて、それを返却しに来たのですが」
最初、久住に対して訝しげな表情を浮かべていた受付の女性が、にこりと笑顔になる。
「わざわざ申し訳ございませんでした。こちらでお渡ししておきますね」
「できれば直接のほうが……」
「目の保養」の由衣濱先生に一目会いたくて来たのに、ここではいさよらなんて。
想定していなかった受付の親切な声掛けに、久住は戸惑う。
スマートかつ自然に、この場を切り抜けられないものか。
久住は表情を変えることなく、ベストな案を模索する。
「あ、久住くん。こんばんは」
「あ……こんばんは」
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