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新しい恋、ごちそうさま
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久住は掃除を中断し、廊下に膝をついた。
「多希さん。その……申し訳ありませんでした」
「……何がですか」
「間違えて名前を」
多希はわざとらしく溜め息をついた。
「いいですよ、もう。別に何も詮索されませんでしたし。俺のほうこそ、大人げない態度を取ってすみませんでした。……だから、立ってください」
あっさりと許してもらえたが、多希の表情はいまだに固い。
久住が懸命に磨いた風呂に入る間、どうにか機嫌を取る方法を考える。
旅行をプレゼントするのは……ちょっとあからさま過ぎるかもしれない。いつか二人で行きたいけれど!
こいつ反省しているな、とちょっとだけ気付かせるくらいの、いい塩梅の案が浮かばない。
物をプレゼントするのはどうだろうか。
自分が買いたいものがあって、ついでに多希さんも何かどうですか……なんて。
「いいお湯でした。崇嗣さんは?」
「まだです」
「……じゃあ、早く入ってきてくださいね?」
破局を回避する方法を必死に探す久住に、多希の甘ったるい誘いの台詞は届かなかった。
多希よりも何倍もの時間をかけて、久住は逆上せる一歩手前で風呂から出た。
ソファーベッドの背はすでに倒されていて、多希は寝る準備に入っている。
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