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2巡目
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キュッとネクタイを締め、最後に白い上着に腕を通す。
「よし」
最後に姿見で自分の格好を確認して、鞄を持つ。
「……行ってきます」
誰もいない家に挨拶をし、しん、とした空間から何も返事がないことに一抹の淋しさを覚えた。…ダメダメ!ネガティブになんな!おれ!頬を叩き、気合いを入れる。ドアを開けて、一歩踏みだす。うん、いい天気だ。
ーーー今日、おれは帝光中に入学する。まだ、少しだけ違和感があるけど、なんとか頑張っていかなくちゃ。…一番不安なのは、黒子達と会って、ボロを出してしまうこと。安全な策はきっと、キセキ達と関わらないことだろう。
ーーーうん、がんばろ。
一人心の中で決心する。黙々と歩いていたからだろうか、なんだか早く学校に着いた様な気がする。
「ここが、帝光中…。大きいなあ」
前通ってた中学と全く違う、校舎の大きさに、ただただ驚く。
「えぇっと、掲示板は、っと」
キョロキョロと、クラス分けの表が貼ってある掲示板を探す。お、あった。近くまで行くと、人があまりにも多過ぎて見えない。
すみません、と言いながら間をなんとか抜け、自分のクラスを確認する。
「んーと、……、Bクラスかあ」
ついでに、キセキらのクラスも確認しとこうかな。……まずは、Aっと、……赤司か。Bは怖いから後で見よ。んー、Cは…、……あっぶな!黄瀬と緑間⁈この組み合わせは意外かも…。じゃあ、Dクラスに三人集まってんのかな。………、え、
「えぇええええええっ⁈……はっ!」
すみません、すみません。急いで謝るが、大声を上げたせいか、周りから注目される。やばい、こんなことで目立ってちゃ、すぐにバレそう。とりあえず、自分のクラスに向かって歩き出す。それよりもだ、Dクラスに書いてあった名前は、青峰、紫原、桃井の三人。いや、確かに三人一緒かぁ、ってそう言ったけど、おれが言ったのはそういう意味じゃなくて、なんで、肝心の黒子が書いて無かったのかってことで…。
「あぁもう、初っ端からピンチっておれ運悪過ぎだろ…」
残るは敢えて見なかったBクラスしかない。いや、待てよ。確か黒子って、影が薄かったよな⁈それを利用して、極力関わらないよう務めれば……。
ーーーイケるッ!!!
思わずグッと拳を握り締め、ガッツポーズをする。また周りから怪訝そうな顔で見られてるのを感じるが、今日ほどおれのチンケな頭に感謝したことはない。この作戦、完っ璧だ。
ーーーそう思ってた時もありました。只今教室で、式前の出席確認中。先生が出席を取っているのを聞き流しながら、廊下側の席を見る。おもっくそ、バレバレなんですけど。なんていうか、前よりハッキリ認識できるわ。ていうか、おれに認識されるってことは、もしかしてまだミスディレ完成してないの⁈あれ⁈
川端ー、
はい
清永ー、
はーい
黒子ー、
「……黒子ー、…….ん?黒子は休みかー?…なら、小嶋ー、」
「うぇい」
大丈夫だろ。きっと、自分で名乗り上げる。
冴島ー、
はい
……あぁ、もう。
清水ー、
はい
ああぁあぁッ、もおッ!!!
「先生ッ、黒子くん、そこにちゃんと居ます!!」
「え、」
バッと手を上げ、指を差す。先生が、おれの指を追って目を凝らすと、漸く黒子を認識したようで、すまんと謝ると、慌てて出席を確認した。
ーーーああ、やっちゃったよ、おれ。ハハッと乾いた笑いが自然と零れた。
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