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今日もまた、要は公園のベンチから、アパートの部屋を見上げていた。
湊が要の元を去って、もうすぐ三年。
治ったはずの手首の傷が、ズキンズキンと痛んだ。
そこへ、また偶然に北斗が通りかかる。
北斗は今の今まで要の存在などすっかり忘れていたのだが、先日と同じようにぼ~っと座る要の様子が、なんだか気にかかり、つい声をかけた。
「大丈夫ですか?
具合でも、悪いんスか?」
問い掛けに、要が緩慢な動きで北斗を見上げる。
声を掛けられるなんて、思ってもみなかったのだろう。
「…あ…いえ…」
要は驚いた様子でそれだけ答えた。
普段ならば、こんな面倒そうな事、放っておくだろう。
しかし、何故か北斗には、それが出来なかった。
「前もココ居ましたよね?
風邪引きますよ?」
「ありがとう、大丈夫。
ここに、居たいんだ…」
頼り無げで、今にも消えてしまいそうに儚い要が、答えた。
「ふぅ~ん…」
北斗は小さく呟き、要の隣にドカッと腰掛けた。
何故そうしてしまったのかは、わからない。
それでも、何だか要を独りにはしておけなかった。
要は北斗の行動に驚きながらも、嫌がりも去りもしなかった。
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