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中編
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「は? バレンタイン? なんだそれ」
「サカさん、知らないのぉ。恋人同士がチョコ交換して、イチャイチャラブラブする日なんだよ」
シラサカがバレンタインを認識したのは、二日前のことだった。それもマキに言われてのことである。
「バレンタインって、チョコレート業界の陰謀だと思ってたんだが、そんな実態があったとは」
「カナカナもきっと用意してるよ。それか、チョコは僕とか言ったりしてぇ~」
想像して顔がニヤけるシラサカ。ちなみに、ここは職場であり、他の人間は黙々と仕事をしている。
「チョコレートか。こういうときは、特別なやつとか買った方がいいんだよな」
「実は僕、既に注文しててさ」
マキは自席のパソコンを操作し、とあるデパートのバレンタイン特集のページを開ける。シラサカは立ち上がり、マキのデスクのパソコン画面を見やった。
「うわ、チョコ六つで三千円もするのかよ!?」
「こういうのは値段じゃないの。世界の有名ショコラティエのコラボレーションだよぉ。バレンタインのときしか買えないんだからね」
ショコラティエとはなんだと思ったが、聞くのが面倒だった。とりあえず限定品だということはわかった。
「よし、俺もこれにする。マキ、釣りはいらないから、これを買ってきてくれ!」
シラサカは財布から千円札を四枚取り出して押しつけた。マキのことだから、二つ返事で了承してくれると思いきや、彼は腕組みをしてうーんと唸った。
「どうしようかな。けど、他ならぬサカさんの頼みだしなぁ。仕方ない、自分用に注文したのを譲るよ」
自分用という意味がわからなかったが、マキが折れてくれたのでよしとする。
「当日の朝イチに家に届くように注文してるから、カナカナには内緒で取りに来てね」
バレンタイン当日、大悟には用事があるといって朝早く出掛けた。シラサカはマキの自宅を訪ね、彼からチョコを受け取った。帰ろうとしたとき、たまたま宅配がきた。マキは荷物を受け取ると、目を輝かせた。
「わーい、これでチョコフォンデュが出来るぅ!」
「なんだ、チョコフォンデュって?」
「ホテルのバイキングとかにあるじゃん。チョコが滝になって流れるアレだよぉ。チョコレートファウンテンって言うんだけど、家庭用だから小さいけど、前から欲しかったんだよね。家でチョコバナナとかチョコイチゴとか出来るじゃん!」
キラキラ目を輝かせて話すマキの姿に、ふと大悟が重なる。
「これ、どこで買ったんだ!?」
大悟が喜ぶ姿が見たいと、シラサカはマキに詰め寄った。
「通販だよ。ひとつしかないから譲れないよ」
先を読まれ、ぴしゃりと言い放たれる。マキの言う通り、シラサカはバレンタインの準備をして来なかったし、チョコレートも彼に譲ってもらったばかりである。
「まあ今日はバレンタインだから、ディスカウントストアとかにあるかもしれないね」
それを聞いて、シラサカはディスカウントストアを3軒ハシゴした。
「何コレ?」
苦労して購入してきたチョコレートファウンテンの箱を開ける。だが、大悟の反応は薄かった。
「えっとね、チョコが滝になって流れるやつ」
喜んでくれると思ったのに、大悟は困惑するばかりである。ならばとマキから買ったチョコを渡せば、顔色を変えた。
あれ、ハニーってチョコ嫌いだったっけ?
いつぞや、ガトーショコラを作ると言い出した大悟に、シラサカは男のロマンだと言って裸エプロンをさせた。最高にエロかったが、後片付けが大変かつ、翌日まで大悟に無視されたこともあり、キッチンでのプレイはしないと心に誓っていた。
もしかして、アレがトラウマになってんのかなぁ。
「あのさ、ハニー、無理しなくていいからね」
大悟は無理していないと言うが、とても言いにくそうにしていた。何度かシラサカの顔を見やった後、こう呟いた。
「だから、Kにあげるチョコは、俺、かなって……」
破壊力抜群の言葉に、シラサカの下半身が疼き出す。どうやら裸エプロンのことは、きれいさっぱり忘れてくれているようである。
本当に、想像の斜め上をいくよな、ハニーは。
こうまで言われたら、美味しくいただくしかない。チョコレートファウンテンを探しがてら、見つからなかったときのために、とある店でチョコレートの入浴剤とある物を購入していた。
よしよし、チョコレートのお風呂にハニーを入れて、丸ごといただこうっと。
ちなみに普通のチョコレートとホワイトチョコの二種類購入した。大悟は好きな方でと言ったので、ホワイトチョコレートの甘々バージョンで行こうと決めた。
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