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「怜司……」
後ろ手に縛った僕を仰向けに寝かせ、怖い顔した怜司が堂々と跨る。
「龍、俺を恨めよ」
僕を見下ろす怜司の表情は、どこか悲壮感が溢れ出ていて、これから誰かを襲う人間にまったく見えない。むしろ――。
「怜司を恨むなんて、僕にはできないよ」
(だって怜司は僕にとって、大切な幼なじみなのに)
「俺は龍が兄貴に囚われたまま、こんなところで立ち止まってほしくないんだって!」
「……………」
「龍を守った兄貴は、そんな顔をさせるために死んだんじゃない」
「わかってる、そんなこと」
「だったら!」
「浩司兄ちゃんの死をムダにしたくない気持ちがある一方で、僕みたいな人間がどうして生きてるのかわからないんだよ。なんの取り柄のない僕みたいなヤツよりも、どうして――」
「俺は龍が好きだ」
好きだと怜司に言われても、心に全然響かなかった。きっと僕の心を浩司兄ちゃんが支配しているから、なにも感じることがなかったのかもしれない。
「龍が好きだけど、恨みもある。理由はわかるよな?」
「それは僕が、浩司兄ちゃんを殺した張本人だからでしょ?」
「ああ、好きだけどマジで憎い。めちゃくちゃにしてやりたいほどにな」
怜司の顔がギリギリまで寄せられたので、キスされると思い、首を動かして顔を背けたら、耳の穴にいきなり舌を差し込まれた。
「ひっ!」
「なぁ、兄貴にどこまで開発されたんだ。教えてくれよ」
「怜司、やめっ…いや、だっ!」
上半身を捻って怜司の動きから逃げようとしたのに、両腕を拘束されているせいで、思った以上に自由がきかない。怜司の両手が僕の頭を掴み、強引に耳の穴を責めまくる。
「やらっ、くすぐったいっ!」
「くすぐったいって言ってるクセに、ここをこんなに大きくさせて」
喉の奥で笑った声を認識した途端に、その部分をぎゅっと掴まれた。
「うぅっ!」
腰を曲げて躰をくの字にしても、怜司の責めは強引に続いた。パジャマの上から容赦なく握り締めつつ、ゆっくり上下に扱く。
「怜司ダメ、そんなにしなぃで」
浩司兄ちゃんが亡くなって、なにもする気になれなかった僕の躰は、残念なことにかなり敏感になっていた。
「お願い、こんなこと、しなっ」
僕の苦情を塞ぐように、怜司の唇が押しつけられる。だけど最初にされたような荒々しいものじゃなく、感じさせるように僕の口内で怜司の舌が蠢いた。
「んあっ…ぁ、あんっ」
流されちゃいけないと頭ではわかってるのに、与えられる快感に躰が反応するせいで、怜司の舌を追いかけてしまう。流し込まれる怜司のヨダレと僕のものが、口の端から流れ落ちた。
「龍、気持ちいいんだろ、腰がイヤらしく動いてる」
「ちが…僕はそんなんじゃ」
「一緒に気持ちよくなろう? ほら――」
僕の下半身に怜司のモノが押しつけられたことで、その大きさに驚くしかない。
(ちょっ、なにこの擦りつけられる、異常に大きなモノ。浩司兄ちゃんよりも大きい)
思わず、喉を鳴らしてしまった。
「龍、なに期待してんだよ。俺のを挿れられたときのことを考えたのか?」
「怜司のい、いれる、なんて、ダメだよ。僕、壊れちゃう」
「壊れないようにゆっくり挿れてやる。心配いらない」
拒否する言葉を告げようとしたのに、怜司の唇が僕の口をふたたび塞いだ。
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