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(……俺、なんてことを)
城島さんは、俺のこと抱きたくなんてなかったのに。
その事実が現実味を帯びてきて、七生は視界が滲んでいるのに気付いた。ぼろぼろと涙が溢れて、嗚咽していた。
シャーロットはとても驚いて何度も七生に声を掛けてくれるけれど、「君のせいじゃない」と、七生は首を横に振っていた。
「……七生様」
「シャーロット、俺ね。城島さんのこと好きになってたんだよ。こんな俺に優しくしてくれた……あの人のことが」
大好きなんだよ———と、七生は泣きながら繰り返す。
好きな人を苦しめることはしたくない。
(俺がいたら……きっと、城島さんとって良くない)
シャーロットはゆっくりそばに寄ると、泣きながら言う七生を抱き寄せて、頭を撫でていた。それは、まるで年下の家族を宥めるように、ゆっくりと気持ちを落ち着かせてくれる、優しい手だった。
二日後、七生は正式に父親へ縁談の断りを入れた。シャーロットが気を利かせてくれ、父親付きの執事に色々と言ってくれたおかげで、七生の待遇は以前と変わらなかった。
父親の会社は、城島家との接点は逃したくないと言って、婚姻はせずとも、関わっていくという考えは変える気がないらしい。
七生は内心ほっとしたようで、まだ心の底から安心したとは言えないでいた。
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