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そうやって髪を拭き合っていると、時刻はもう十一時になっていた。明日も仕事のある城島は、「もうそろそろ寝るか」と言いながら、居間の窓際にあるベッドに腰掛ける。部屋には窓から差し込む月明かりだけで、空気は少し肌寒い。
「……七生? 寝ねえの?」
「あ、はい……」
布団に入る城島を、七生は少し離れた場所から見ていた。夫婦になったとはいえ、誰かと隣で眠るのは初めてで戸惑ってしまう。
そんな七生の反応に首を傾げていた城島は、布団の片方を捲り上げて「来いよ」と言ってくれる。
「……、え、っと」
「一緒に寝るの嫌か? なら俺他の部屋で寝るけど」
「ああいや! そういうわけじゃ、なくて……」
「ん?」
「誰かと、その。一緒に寝るのが、初めてで……」
(呆れられたりしないかな……)
ぎゅっと目を瞑っていると、城島からは拍子抜けしたような笑みが溢れた。思ってもみなかった反応に、七生は益々おろおろとしてしまう。
待っていられなかったのか、城島は軽い動きで七生の側に寄ると、そのままお姫様抱っこでベッドに連れて行った。
「……なら、一緒に寝るほかねえじゃん」
優しい声音に、七生の心臓はどきりとする。
ちゅ、と七生の額にキスをすると、城島は優しく布団をかけてくれ、隣で向かい合うように添い寝をしてくれた。
「緊張する?」
「す、少しだけ……します」
「はは、だいじょぶだって」
心臓の音が、耳のすぐ近くで聞こえる気がする。
七生は、思う。
(俺、この人のこと本当に好きなんだな……)
何気ない優しさに、笑顔に、自分は救われているのだと———。
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