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二
遠くで声がした。
それはだんだん大きくなって、自分の側で聞こえてくるようになる。
意識を取り戻した中で自身の鼓膜を揺らしているのは、聞いたことのある声。
その聞き慣れた声達が、何か言い合っているようだ。
「お前、まじで何にもしてねえだろうな」
「してませんって。なんで信じてくれへんねんこの人」
「うるせえ、先輩敬えよ後輩」
「その可愛い後輩があなたの可愛い奥さんをここまで運んで来たんすよ? お礼の一つあってええんとちゃいます?」
(末次、さん……?)
聞こえるはずのない声がしている。その事実を早く確かめたくて、七生はぱちりと眼を開けた。
———すると、そこは七生の部屋で、自分はベッドに寝かされていた。
(あれ、俺……なんで)
少し離れた場所で、末次と城島が何か話している。
城島は、今までに見てきた七生と一緒にいる時の彼とはまた違っていた。まるで威嚇をするように末次に対して当たりが強い。
その様子に、末次が呆れているようだった。
「……城島、さん?」
七生の声を聞いてはっとした城島は、足早に七生の方へ歩み寄ってくる。
「大丈夫か?」
「……ああ、俺、発情……」
(……そういえば、熱が引いてる気がする)
自身の額に触れると、先ほどまでの火照った感じが治まっていたので、七生は不思議に思った。
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