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「……末次さんは、俺の友達です」
「う、そんな仲良くなってたのかよ。俺がいないうちに」
城島はきっぱりと言う七生にたじたじだった。
久しぶりに家に帰って来られたと思ったら、玄関先で七生が倒れたと聞かされて飛んできたこと。そして、七生の部屋に入ると、その時七生を担いで運んできた末次とシャーロットが呼んだ医者がいたことを、城島は七生に話してくれる。
その時は七生は既に、抑制剤の注射を打たれて落ち着いていた。
「……俺が抱いてやれないから、周期が乱れてんだよな」
「い、いえ。あ……えっと、そのことなんですけど」
良い機会だな、と思った七生は、末次と話したことについて伝えてみることにした。
「……俺、城島さんとそろそろ、その。番になりたいなぁ、って思ってて……夫婦だと、薬よりもそっちの方が、安定するから、って」
話している最中、城島の方へ視線を向けた七生は、どきりとした。
真剣に聞いてはいるものの、俯いた城島の横顔は酷く悲しそうだ。初めて見る表情に、七生はどう言おうか悩んでしまった。
「き、城島さん?」
「あ、悪い。番……か。そうだな、その方が俺にも虫が付かなくなるし」
良いんじゃねえかな、と笑顔を作っていたけれど、城島の眼は上手く笑えていない。
七生はその眼を見逃さなかった。久しぶりに会えたけれど、この表情はなんとなく分かる。
(なんか、ごまかされた……?)
それは、漠然とした不安だ。
そしてどこか、確信めいたものだった。
———……
———……
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