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「アルファのヒートが起きなくなってる?」
末次の驚いたような言い方に、医者からそう言われた、と城島は続ける。
ヒートは、オメガの発情に合わせて、そのフェロモンに当てられたアルファに起きる反応だ。オメガを求める、アルファの本能———けれど、城島には最近、そのヒートが起こらなくなってしまったらしい。
「七生の発情期に頸を噛もうってならなくなったんだ。その原因が、多分……あいつを初めて抱いた時の、ことで」
「……それ、詳しく聞かせてもらっても良いですか」
七生ははっとした。
城島に初めて抱かれたとき、彼には明らかなヒートの症状が出ていた。
息を荒くさせ、オメガを求める。
———自身のものにしようとする、獣の眼だった。
無理やりに抱かれていたけれど、それは精を放って今の症状を楽にするための手段だったと思っている。でもそれは、七生にとっての話だったのだ。
(まさか、城島さん……)
七生のヒートに当てられた城島は、“頸を噛んではいけない”と強く拒んだ。自身の腕に何十ヶ所もの噛み跡を残してしまうほどに。
その拒否反応を、身体が今でも覚えているのだと、医者には言われたらしい。
「……あんまり誘発剤を飲むのは勧めないって言われたし、強制的に起こしたところでそれは、どうなんだって」
———強制的に起こしたヒートでは、オメガをものにすることなんて出来ない。
俺だって早く番になりてえよ、と悔しさを露わにした城島に、末次は何も言えないでいる。
オメガの発情期に合わせて、アルファの昂りはやってくる。その際に頸に噛み跡を残して、やっと二人は番になれるのだ。
「けど、あいつを抱きたいとは思うんだよ。好きだって気持ちの他に、どこにもやりたくねえって。思いはするんだ」
勝手過ぎるよな、と城島は声を絞り出す。肯定も否定もしない末次は、ただ呆然と城島を見ていた。
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