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美弥side
「っ!!」
パシン、と手を掴まれて俺の手は止まる。
なによりも驚いたのは起きた流栖の表情だった。
ガチガチと歯を鳴らしながら真っ青な顔で目を見開く。
明らかに何かに怯えている顔だった。
「あ、ごめ、」
目の前にいるのが俺だと理解したようで手を離す。その手をすかさず俺が握る。その手は小刻みに震えていてとても冷たかった。
やっぱり以前より少し痩せている。
「お前、何かあったのか?」
「…離せ。」
「おい、」
「離せ。」
「話聞けって、」
「離せ!!」
叫ぶように言われて俺は手を離す。
流栖の声が聞こえて山口先生もカーテンを開けて様子を見に来たようだ。
流栖は上半身を起こしながら「あ、驚かせちゃったな。ごめん。」と言っていつものように笑って見せた。
何かが胸につっかかる。
「流栖…。」
「りゅうちゃん。もう大丈夫なの?」
「おう!もうピンピンしてるぜ!」
ニカッと笑う流栖。「トイレ行ってくる。」と言って保健室を出て行った。心なしか歩き方も少し可笑しい。
俺も流栖のあとを追うように保健室を出て行く。
流栖の入って行ったトイレに足音を立てずに入ると3つある洋式便所のうちの1つの扉が閉まっていた。
そこから聞こえてくる何かを吐き出す音。
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