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「幸いいいぃ!久しぶり!」
「りゅう兄ちゃん!!」
ドタドタと俺の方に走ってくる美弥の弟の幸(ゆき)に向かって腕を広げる。
ガバッと幸が俺に抱きつき、俺も抱きしめる。
「おい。玄関で止まってんな。早く奥行け。」
「へーい。」
俺が幸を抱っこしながら返事をすると、幸も「へーい」と返事をした。
リビングに顔を出すと、美弥のお母さんの美由紀(みゆき)さんが俺を見て驚いた顔をする。
「あれ!?りせちゃん?!え、何で!え?」
美由紀さんが慌て過ぎて手に持っていたティーカップを落としそうになっている。
因みに「りせちゃん」とは美由紀さんと美弥のお父さんだけが使ってる俺のあだ名だ。
「りゅうせい」の「り」と「せ」を取ってりせちゃんだそうだ。ネーミングセンスに関しては目を瞑っていただきたい。
「明日学校休みなんで、泊まりに来ちゃいました。」
本当のことを言うと、光一から逃げるため。スマホの電源はあらかじめ切っておいた。
授業中に学校を裏口から抜け出して適当に下着などを買ってから、今にいたる。
俺の家と美弥の家は反対方向にあるため、いちいち衣類を取りに戻るのは面倒だった。
「りゅう兄ちゃん!俺と!遊ぼ!」
幸を床に降ろしてやると、ぐいぐいと手を引っ張られる。
幸は小学1年生の元気な男の子。多分遊び盛りなのだろう。
「こら、幸。流栖疲れてんだぞ。」
学校にいたときの俺の様子を察してか、美弥が幸を叱る。
やっぱり弟となると口調は柔らかくなるようだ。
「ああ、もう大丈夫だから。心配してくれてありがとな。」
と小さな声で美弥に言うと、「別に心配してねぇし。きも。」と言われてしまった。キャー美弥クン優しくない!
美弥が2階へ上がって行き、俺は幸の方を向いてニッと笑う。
「よっしゃー!幸!遊ぶぞ!」
「おー!」
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