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今でもたまに五木に残る移り香の事。
久貴に付けられる所有印の事。
店に出る自分を信じて貰えていない事。
久貴が声を荒らげて訴える間、五木は黙って久貴の言葉を聞いていた。
じっと見つめる視線に気付き、我に返った久貴が、慌てて口を閉じる。
『どうしよう…オレ、酷い事言った…』
謝らなければと思うのに、久貴の口からは嗚咽しか出てこない。
「…ふっ…ぅぅっ…」
涙が止まらず、全身がカタカタと小刻みに震える。
『こんなことなら、何もしなきゃよかった。
あのままだったら、たまに抱いて貰えてたかもしれないのに…。
もう、終わりだ…』
俯き、涙する久貴に、低い声が降ってくる。
「言いたいことは、それだけか?」
淡々と吐き出される言葉は、恐怖以外の何物でもない。
「すみっ…ませっ…ごめ…なさい…」
震えながら謝罪の言葉を繰り返す久貴に、五木は尚も淡々と告げる。
「謝れとは言っていない。
他に言いたいことはないのかと聞いてるんだ」
「…ぅ゙っ…」
謝る事も止められ、久貴は泣き続ける事しか出来なくなる。
『どうしよう…嫌われた…』
ギシッ…
五木がベッドの上で、体勢を変える。
手が、久貴の頬へと伸びた。
『叩かれる!?」
「…ゃっ…」
久貴は咄嗟に頭を抱え込み、恐怖に身を竦めた。
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