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食卓に着くと、久貴が申し訳なさげにこちらを見上げてくる。
「ん?」
目で催促すると、
「すみません、毎日…。
家賃代わりに家事はするって言ったのに…」
と謝られた。
「そんなことか。
朝飯以外は洗濯も掃除もお前がしてるんだから、構わん」
「でも、オレ…また朝失礼なことしませんでしたか…?」
久貴は寝起きの暴言などはなんとなくしか覚えていないらしい。
まぁ、ちゃんと覚えていたら、二度と気を許してくれなさそうだから、覚えていないほうが俺としても好都合だが。
「いや、ちょっと眉間にシワを寄せてなかなか起きなかっただけだ」
嘘は、言っていない。
「すみません、昔から朝は弱くて…」
シュンと肩を落とす久貴。
本当に、この可愛い生き物は何なんだ。
抱き締めてわしゃわしゃと撫で回したい衝動を誤魔化し
「冷めるから食べてしまえ」
と声をかけ、食事を開始する。
ついぶっきらぼうな言い方になるのは仕方ない。
いつものように、久貴の淹れたコーヒー片手に、持ち帰った仕事を始める。
久貴は食後の片付けやら掃除洗濯やら、テキパキと家事をこなしてくれた。
本人は
「こんなんじゃ、この高級マンションの家賃代わりになんて、全然足りない」
とか気にしていたようだが、久貴1人養うくらいなんてことないのに。
そもそも、ローンも残っていないマンションに家賃なんていらないし、ハウスキーパーを辞めたから、しかも、食費や光熱費は強引に渡されるから、むしろ支出は減っているんだが…。
まあ、あまり口出しして別居されては困るから、大人しく見ていることにしよう。
さて、明日は日曜日。
どうやって起こそうかと、今から既に楽しみにしている俺は、もう相当久貴に骨抜きのようだ。
『こんな自分も、案外悪くない』なんて思ってしまい、自然と笑みをこぼす自分の気持ち悪さに若干鳥肌が立った。
ーーーーーENDーーーーー
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